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総合型・推薦型選抜エクストララ8月25日号

私立大:2021総合型選抜結果の集計レポート

総合型選抜情報

◆私立大:2021総合型選抜結果の集計レポート

弊社では全国版「総合型選抜年鑑」の発刊に際して、私立大の総合型選抜の動向を把握するため、毎年、多角的な統計作業を実施している。今回は、まず2021総合型選抜結果の集計状況からレポートしておきたい(データ公表校のみ集計)。

学部系統別の志願者数・合格者数の状況は次のとおりであった。

系統 志願者数 合格者数 平均倍率(前年度)
(1)人文科学 20,801人 10,449人  2.0倍(2.5倍)
(2)社会科学 44,665人 21,915人 2.0倍(2.4倍)
(3)教育・教員養成 9,862人 5,505人 1.8倍(2.1倍)
(4)理工学 7,730人 4,286人 1.8倍(2.1倍)
(5)農・水産・獣医 1,858人 1,160人 1.6倍(2.2倍)
(6)保健・医療 24,926人 8,544人 2.9倍(3.1倍)
(7)生活科学(栄養) 5,473人 3,518人 1.6倍(2.0倍)
(8)芸術 16,435人 6,562人 2.5倍(2.1倍)
(9)スポーツ・体育(健康) 8,957人 5,240人 1.7倍(2.0倍)
(計) 140,707人 67,179人 2.1倍(2.4倍)

全体の志願者数は、2020年度より13,879人の大幅減(コロナの影響、公募制推薦への再移行などのため)となり、4年連続の大幅増から一転、志願減となった。これに対し、合格者数は1,635人増となり、平均倍率は2.4倍→2.1倍とかなりの低下となっている。

学部統計別にみると、志願増となった分野は、農・水産・獣医系、保健・医療系、芸術系の3分野、これ以外はすべて志願減となっている。平均倍率でみると、特に保健・医療系は人気が高く、倍率も2.9倍と全系統の中で抜きん出ている。次いで、芸術系、人文科学系・社会科学系となっており、この4分野が2倍台を維持している。国公立大の総合型選抜も志願減となっているが、合格者数は増加している。これは、大学側が一般選抜での志願減を見越して、総合型選抜で多めに合格者数を出したことが影響していると予測される。

正確な統計は、例年、秋ごろ公表される文部科学省の発表を待たねばならないが、本年鑑の統計と大きな差異はなく、2022年度入試も若干の志願減が予想されるが、難関私立大・有名私立大や人気の学部系統(医療・保健系、情報・建築系など)は競争率も高いので十分注意してもらいたい。

◆私立大:2021総合型選抜の地区別志願動向

私立大の総合型選抜戦線は、地区によって差異が大きいので十分注意する必要がある。

弊社が集計した地区別の2021総合型選抜結果は次のとおりとなっている。

地区 志願者数 合格者数 平均倍率(前年度)
北海道・東北 5,494人 4,104人 1.3倍(1.4倍)
関東 76,363人 33,746人 2.3倍(2.6倍)
中部 12,906人 7,749人 1.7倍(1.8倍)
近畿 34,421人 14,273人 2.4倍(2.7倍)
中国・四国 6,202人 4,178人 1.5倍(1.6倍)
九州 5,321人 3,129人 1.7倍(2.0倍)

全般的にみて地方圏の私立大では、入試区分ごとのデータ公表状況が芳しくないという事情はあるが、全体の動向は弊社の統計でも明白に表れてくる。2021年度の場合、北海道・東北、中部、中国・四国の3地区が志願増、その他は志願減となっている。特に関東地区は約1万人の大幅な志願減となった。また、例年と同様に志願者数では関東地区が群を抜いて多く、全志願者数の54.3%を占めている。

一方、合格者数では関東以外のすべての地区で増加している結果となっており、各地区ともに平均倍率は下がっている。2022年度入試においても、コロナ禍での実施等の影響もあり、同じような傾向になると予測している

また、関東と近畿を比較すると、学校推薦型選抜が「東低西高」型であるのに対して、総合型選抜では完全に「東高西低」型の入試構図になっていることも見て取れよう。これは、関東地区が学校推薦型選抜ではきびしい成績基準を設けるのに対して、総合型選抜ではほぼ基準設定がないことによっている。

学校推薦型選抜情報

◆国公立大:2022学校推薦型選抜の新規実施速報

弊社では9月初旬に全国の高校へ2022全国版「学校推薦型選抜年鑑」をお届けする予定だが、本年度も国公立大で注目すべき新規実施のケースが若干あり、年鑑より一足早く新規実施情報を速報でご紹介する(詳細は弊社年鑑を参照してほしい)。

<国立大>

■宮城教育大
<宮城県内定着枠>教育学部=学校教育教員養成課程10人(4.0以上)
■福井大
<嶺南地域枠>教育学部=学校教育課程初等教育6人・中等教育4人(4.3以上が望ましい)
■名古屋工業大
工学部=基幹工学夜-教育電気・機械工学8人、環境都市工学8人(専門課程対象、3.5以上)
■京都工芸繊維大
<地域創生 Tech Program>工芸科学部=応用生物学課程1人、応用化学課程3人、電子システム工学課程1人、情報工学課程1人、機械工学課程2人、デザイン・建築学課程2人(福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町の高校出身で3.5以上)
■大阪教育大
<特別枠>教育学部=初等‐小学校教育(昼)5人
■奈良女子大
工学部=工学科5人
■和歌山大
<有資格者推薦(簿記)>経済学部=経済学科6人(日簿2級以上、または全商簿1級の有資格者)
■山口大
<共通テストを課さない推薦>教育学部=教科教育(小学校総合15人、数学教育2人、3.5以上)
<共通テストを課す推薦>教育学部=小学校教育(教育学2人、心理学2人)、情報教育2人、教科教育(国語教育2人、社会科教育2人、理科教育2人、音楽教育1人、美術教育1人、保健体育教育1人、技術教育1人、家政教育1人、英語教育1人)
■九州大
歯学部=歯学科8人
■熊本大
<熊本みらい医療枠>医学部=医学科10人、教育学部=初等・中等教育実技(音楽・美術・保体・技術)

<公立大>

■川崎市立看護大
看護学部=看護学科25人(3.8以上、2022年4月より、川崎市立看護短期大学から川崎市立看護大学の4年制へ移行)
■福井県立大
海洋生物資源学部=先端増養殖科学科8人(国・数・英の平均が4.0以上など)
■大阪公立大(仮称)
経済学部=経済学科(英語重点型38人・数学重点型22人、3.5以上)、商学部=普通科対象(英語重点型25人・数学重点型15人、3.5以上)、理学部=生物化学科5人、工学部=応用化学科3人(4.0以上かつ数・理または理数4.2以上)、マテリアル工学科3人(4.0以上)、獣医学部=獣医学科5人(英検2級以上等の有資格者)、生活科学部=食栄養学科(理数型‐府内4人・全国6人)
■島根県立大
人間文化学部=地域文化学科15人(3.8以上)
■山陽小野田市立山口東京理科大
薬学部=薬学科(全国対象18人、4.0以上)

ニュースフラッシュ

◆令和4年度大学入学者選抜に係る新型コロナウイルス感染症に対応したガイドライン

総合型選抜の出願開始まで10日あまりとなった。そこで今号では、文科省が6月4日に公表した令和4年度大学入学者選抜に係る新型コロナウイルス感染症に対応したガイドラインについて再確認し、出願に万全を期すようにしてもらいたい。

まず(1)基本的な考え方では、これは一般でも言われているような感染対策について述べており、試験の実施においても、しっかりと感染対策を行えば日常生活の様々な場面で感染する可能性よりも比較的低いとしている。当然のことながら、大学側もコロナ禍で行われるのは2回目となるので、感染対策は徹底しており、受験生は試験に集中して受験してもらいたい。

(2)試験場の衛生管理体制等の構築、(3)試験当日の対応に関しては、受験生同士の距離間の確保(座席を1メートル程度確保する)、アルコール消毒の徹底、マスク着用の義務付けなど、このあたりも世間一般で言われていることと、さほど大差はない。受験生も知り合いがいたとしても、会話などはなるべく避けるようにしておけば、感染リスクはかなり低いと言ってよいだろう。

2022年度入試も、コロナ禍で行われる大学入試となるが、昨年度からオープンキャンパスや事前面談のオンライン化、そして本番の試験でもオンライン面接が取り入れられ、先生方も慣れない入試にかなり苦戦されたのではないだろうか。今年も、オンライン面接やプレゼンテーション動画の提出など、受験生にとってはやりづらい入試となるのは間違いないので、先生方の指導がより重要になってくると考えられる。

そして、(4)の受験生に対する要請事項では、ワクチンについてはワクチンの接種を受験要件にしないこととなっているが、生徒にはワクチンの正しい情報をしっかりと把握したうえで、ワクチンの接種をどうするか判断してもらいたい。また、入学試験前後に新型コロナウイルスに感染した場合、もしくは濃厚接触者となってしまった場合でも、各大学は追試験日を設けているので、少しでも自分の症状に違和感がある場合は、決して無理に受験はしないよう、先生方は生徒にしっかりと説明してもらいたい。

以上のことを踏まえてこれからの入試を迎えてもらいたいが、8月中旬現在、新型コロナウイルスの感染者は急増しており、今後の入試日程、入試内容などが大幅に変更される可能性は各大学とも十分あるので、生徒には受験する大学、また志望大学のホームページをこまめにチェックするよう指導してもらいたい。

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