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AO・推薦入試エクストラ10月10日号

国立大のCT併用型は残り3ヶ月の学習対策が重要

AO入試情報

◆国立大のCT併用型は残り3ヶ月の学習対策が重要

文科省の24年度大学入学者選抜の概要によると、AO入試でセンター試験(CT)を課すのは、国立大が23校59学部、公立大が3校5学部(弊社調査では4校5学部)となっている。国立大ではAO実施学部の約3割がCT併用型で実施する。

言うまでもなく、CTの用い方は(1)最終合否で一定得点以上を対象とする、(2)書類・面接・小論文等との総合点で合否を決定、の2パターンになるが、国立大では(1)の用い方が相当数にのぼるので、CT併用型ではCT得点力が志望校の合格水準に達するかどうかが合否の分岐点になる。一般的に医学系では75~80%と基準が高いが、薬学系は70~75%程度(一部に80%)、その他では60%前後の設定が多い。

そこで、面接・小論文対策と併行して、残り3ヶ月はCT対策にベストを尽くす必要があることを生徒には十分周知徹底し、助言とフォローに万全を期したい。10月を迎えたこの時期になると、実力が伸び始める生徒も多い反面、長期の受験学習と思うように学習成果があがらないために心が折れかけている生徒も決して少なくないはずである。

生徒の学力と志望校の合格水準をよく検討して、個別に残り3ヶ月の取り組みを話し合い、生徒の奮起を促してほしい。AO入試を志望する生徒には、必ずそれぞれの夢がある。それを原動力として、基本学力を効率的・集中的に身につける努力を継続できれば、AO入試でCT基準点をクリアすることは決して難しくない。進路指導部のご苦労に思いをはせつつ、今後のご健闘をお祈り申し上げている。

◆CTを課す国公立大と基準点一覧

AO入試でCTを課す大学・学部の一覧をまとめておく。詳細は弊社の「AO入試年鑑」を参照してほしい(カッコ内は基準点がある場合の数値を示す)。

  • ■旭川医科大 医=医(75%)
  • ■北海道大 医=医学系(810点以上で化Ⅰ・生Ⅰの合計が160点以上)
  • ■弘前大 医=医(75%)
  • ■東北大 <AOⅢ期>法・教育・経済・医・歯・薬・工・農
  • ■千葉大 教育=小学校(60%)
  • ■東京農工大 農=環境資源科学(390/600点)
  • ■電気通信大 情報理工=先端工学基礎
  • ■東京工大 工=第2~6類
  • ■横浜国大 教育=教科教育(570/900点)、理工=建築都市・環境系(海洋空間のシステムデザインEP)
  • ■信州大 理=地質科学(450/900点)
  • ■富山大 経済(昼)、理=地球科学
  • ■金沢大 理工=機械工(人間機械・エネルギー環境)・電子情報(生命情報)、医薬保健=薬・創薬科学(640/800点)
  • ■福井大 工(AOⅡ)=機械工、電機・電子工、情報・メディア工、材料開発工、物理工
  • ■静岡大 理=地球科学
  • ■神戸大 発達科学=人間行動・人間環境、医=医、海事科学=全学科(540/900点)
  • ■島根大 総合理工=理工特別コース、教育=学校教育
  • ■岡山大 教育=学校教育・養護教諭、法=法(昼)、理=化学・生物・地球科学、薬
  • ■広島大 教育=初等教育(600/900点)、特別支援教育(585/900点)、自然系(585/900点)、数理系、技術・情報系(250/500点)、社会系(585/900点)、教育学系(600/900点)、心理学系(620/900点)、法夜(275/500点)、経済=経済昼A(560/900点)、昼B・夜(250/500点)、医=保健(540/900点、専門型500点以上)、医(720/900点)、薬=薬科学(700/900点)、歯=歯(650/900点)、口腔健康(500/800点)、工=第ニ類(390/600点)、生物生産(A型=380/700点、B型=390/600点、C型=540/900点、科学オリンピック型=390/600点)
  • ■愛媛大 法文=人文AOⅡ(国語・外国語の合計360点)、教育=学校教育・特別支援教育、理=全学科、農=生物資源AOⅡ、スーパーサイエンスAOⅡ
  • ■九州大 <AOⅡ>理=物理・化学・地球惑星科学・数学・生物、医=保健、歯、芸術工=全学科、農
  • ■長崎大 医=医(80%)、歯=歯(70%)、薬=薬科学(75%)、工(80%)
  • ■大分大 医=医
  • ■青森県立保健大 健康科学=理学療法(7割程度)
  • ■青森公立大 経営経済=全学科
  • ■兵庫県立大 理(数学は各科目90点以上、理科は計150点以上)、環境人間
  • ■九州歯科大 歯=歯(630/950点)、口腔保健(450/850点)

推薦入試情報

◆推薦入試出願時の必須点検事項

いよいよ推薦入試への出願が間近に迫ってきた。一般入試と異なり、高校側が責任を持って送り出す推薦入試の場合、担任や進路指導部にはこの時期必ずやっておきたい事項がある。その主要事項を簡潔に整理しておこう。

(1)提出書類のチェック

生徒が志望する大学の指定書類の最終チェックが必要。大学や推薦区分により、それぞれ提出書類は異なる。事前に統一のチェック表を用意し、生徒に記入・提出をさせるぐらいの周到さが必要で、どれか1つの書類が欠けただけでも出願不受理となるので十分注意したい。調査書では成績基準や履修状況及び履修条件の確認、特記事項等が適切に記入されているかをチェックしておきたい。推薦書については、特に推薦理由を明確かつ効果的に表現する必要がある。生徒が作成する書類(志願理由書、活動報告書、自己推薦書等)については、当然ながら誤字・脱字を含む下書きの事前チェックが欠かせない。

(2)面接力の最終チェック

大学での試問事項を想定して、すでに何回かの面接トレーニングを実施されているはずだが、この直前期にはどの程度面接力が向上しているか、最終確認をし、欠点が残っていないか確認してほしい。国公私を問わず、面接は推薦入試の根幹をなすので、面接力の向上はきわめて大切だ。

(3)小論文作成力や基礎学力の最終チェック

小論文や基礎学力試験に対する弱点、不十分さが残っていないか確認して、適切に指摘・指導することによって、短期間でも生徒のフォローができる。

◆推薦区分ごとの定番書類と併願手順の鉄則

推薦入試では、区分によって提出書類にも差異があるが、自己推薦を除いて学校長推薦書、調査書は必須の提出書類となる。各区分の主要書類を整理しておこう。

(1)一般・特定教科・専門課程・女子学生・奨学生推薦
この5区分では推薦書・調査書が中心。ただし大学によっては志願理由書、自己推薦書、活動報告書等の提出を求める。国公立大のCT併用型では推薦入試用の成績請求票も必要になる。
(2)スポーツ推薦
学校長と部活動指導者の両方の推薦書が必要になるケースがあるので要注意。調査書も必須でほかに競技成績証明書、スポーツ競技歴書、活動報告書(資料)など。
(3)有資格者推薦
推薦書、調査書のほか大学が指定する資格・検定の取得証明書(原本提出のケースもあるので要注意)、活動報告書など。
(4)課外活動推薦・一芸一能推薦
推薦書、調査書のほか課外活動報告書、活動歴書、活動実績・検定取得証明などが必要で、なるべく詳細な資料を添付したほうがよい。
(5)自己推薦
中心となるのは受験生本人の自己推薦書だが、調査書は必須のケースが多く、活動報告書や高校側の志願者評価書などを求めるケースもある。
(6)宗教関連推薦
学校長推薦書、調査書のほか洗礼証明書、宗教関係者の推薦書、宗教活動報告書などが必要になる。
(7)地域推薦
学校長推薦書、調査書のほか地方自治体の首長や指定期間の推薦書が必要になる場合があるので注意したい。
(8)その他の推薦
学校長推薦書、調査書のほか入試内容に応じて、関係団体・同窓会・OB教員等の推薦書等が必要になる。

また、どの区分であれ志願理由書、活動報告書等を提出させるケースもかなり多いので、大学の指定内容には十分注意しなければならない。

最後に推薦入試における併願手順については、専願制のみ注意すればよい。組合せは次の3パターンになる。(1)専願制第1志望+第2志望(第1志望の合格発表後に試験を実施)、(2)専願制第1志望+併願制第2志望(両方合格の場合専願制に入学)、(3)併願制第1志望+併願制第2志望(入学手続締切日に注意して志望順位を決める)。専願制と併願制を組合せて、両方に合格した場合、専願制に入学するのが鉄則となる。詳細は弊社「推薦入学年鑑」の解説P.61を参照してほしい。

ニュースフラッシュ

◆2011新司法試験で合格率トップは一橋大

法務省の司法試験委員会は、9月上旬、2011年度新司法試験の合格状況を公表した。法科大学院74校を修了して同試験を受験した者は8,765人、合格者数は前年度比11人減の2,063人であった。合格率は1.9ポイント減の23.5%。新制度による試験開始以来、合格率は低下し続けている。合格者の平均年齢は28.5歳で、最高齢は60歳であった。

新司法試験は、法曹人口の拡大を含む司法制度改革の一環として導入され、当初は7~8割の合格を確保する構想だった。しかし、法科大学院の大量認可による乱立で大量の不合格者が出ることになり、年度を追うにしたがって再受験組がふくれ、合格率は低下する一方だ。

今回の試験で、大学学部で法学を専攻した既修課程の合格率が35.4%だったのに対し、他学部出身の未修課程の合格率はわずか16.2%で、多様な分野から人材を募るという理念は十分機能していない。合格不振の大学院の中には早くも募集停止や統廃合が出始め、定員縮小を図るケースも目立つ。

合格者数では、東京大210人、中央大176人、京都大172人、慶大164人、早稲田大138人、明治大90人、一橋大82人、神戸大69人、同志社大65人、東北大54人がベスト10を占める。新制度に移行して、京都大、一橋大、神戸大の健闘が目立ち、新養成制度が適する学生層のいることが分かる。合格率でみると、一橋大の58%がトップで、次いで京都大55%、東京大50%の順。合格者数が1ケタの大学では、合格率もきわめて低い。このままでは問題が残ることは確かだが、旧制度と比較して新制度ならではの法曹人の良さや特質の認識が広がることも期待されよう。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆AO入試(7):学部系統別実施状況と動向

2012年度現在、国立大では全学部の35.4%、公立大では21.6%の学部でしかAO入試は実施されておらず、当然ながらAOでの実施学部層が薄い分野もあるので注意したい。文系では人文科学系は少なく、比較的に社会科学系が多いが、法学系での実施はきわめて少ない。全般的には保健・医療系、理工系、農学系などの自然科学系や教員養成系での導入が目立っている。

それに対して、私立大では推薦入試と比べてもそう差がないほど実施学部数が増え、しかも全系統にわたって豊富にそろっているのが特徴だろう。弊社の調査では、各系統の実施学部数、比率(%)は次のようになっている(複合領域の学部は複数扱いで集計)。また、カッコ内は推薦入試の実施状況を示す。

系 統 学部数 占有率
人文科学 229(280) 17.7%(17.3%)
教育(教員養成) 112(150) 8.7%(9.3%)
社会科学 474(543) 36.7%(33.6%)
理工 139(147) 10.8%(9.1%)
農・水産・獣医 16(28) 1.2%(1.7%)
保健・医療 116(235) 9.0%(14.6%)
生活(栄養) 81(103) 6.3%(6.4%)
スポーツ(健康) 53(55) 4.1%(3.4%)
芸術 71(75) 5.5%(4.6%)

推薦入試と比べて実施状況が活発なのは、社会科学系、理工系、生活科学系、体育・スポーツ系、芸術系など。逆に実施状況がまだ活発とは言えないのは、農学系や保健・医療系などだろう。

しかしながら、私立大におけるAO入試の実施状況は年ごとに拡大の一途を辿っている。2011年度の文科省統計は秋ごろ公表されるが、おそらく志願者数合計も10万人の大台に達していると予測される。今後は、保健・医療系などでのAO実施率もさらに上昇するだろう。

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