AO・推薦入試エクストラ10月10日号
2019推薦入試出願時の必須チェック事項
AO入試情報
◆私立大:2019AO入試の全国統計レポート(3)
前号に続き、私立大2019AO入試における専願区分、成績基準、資格・活動実績基準に関する弊社の統計レポートをお届けする。
<専願区分> | (大学数) | (比率) |
---|---|---|
専願制 | 405校 | 79.7% |
併願制 | 82校 | 16.1% |
専・併 | 6校 | 1.2% |
非公表 | 15校 | 3.0% |
AO入試でも全体の約8割は専願制で実施し、併願制は16.0%と少ない。出願期が早いので、3年次の早期に第1志望校を絞り込んだ生徒でないと、AO入試は活用しにくい。
<成績基準> | (大学数) | (比率) |
---|---|---|
設定なし | 442校 | 79.7% |
複数条件の1つ | 9校 | 1.6% |
必須条件 | 104校 | 18.7% |
推薦入試との大きな相違点の1つが、成績基準の設定がきわめて少ないことだろう。必須条件としているのは全体の18.7%で、約8割は成績基準を設けておらず、多くの志願者が流れ込む最大要因となっている。
<資格・活動実績基準> | (大学数) | (比率) |
---|---|---|
設定なし | 397校 | 62.0% |
複数条件の1つ | 98校 | 15.3% |
必須条件 | 145校 | 22.7% |
成績基準と異なり、取得資格や活動実績を設定する割合は、複数条件の1つと必須条件を合わせて38.0%と全体の4割近くを占める。逆の見方をすれば、資格や活動実績を持つ生徒には、AO入試は現役合格へのパイプとなりうる入試であると言えよう。ただし、上位私立大群ではAO枠がさほど大きくなく、出願要件と合格可能性を慎重に検討する必要がある。
◆私立大:地区別2019出願条件の設定状況
ここでは2019AO入試の出願条件に関する地区別の弊社統計をご紹介する。各地区の特徴を十分把握しておいてほしい。
地区 区分 |
北海道 東北 |
関東 | 中部 | 近畿 | 中国 四国 |
九州 |
---|---|---|---|---|---|---|
専願制 | 37校 | 137校 | 70校 | 85校 | 36校 | 40校 |
併願制 | 4校 | 44校 | 11校 | 17校 | 1校 | 5校 |
專・併 | 0校 | 2校 | 1校 | 3校 | 0校 | 0校 |
非公表 | 2校 | 9校 | 1校 | 2校 | 0校 | 1校 |
推薦入試では併願制が主流の中部・近畿・中四国地区においても、AO入試は専願制主流なので要注意。一方、関東地区の推薦入試は専願制が主流だが、AO入試では併願制も全体の22.9%とかなり多い。
地区 区分 |
北海道 東北 |
関東 | 中部 | 近畿 | 中国 四国 |
九州 |
---|---|---|---|---|---|---|
設定なし | 40校 | 169校 | 70校 | 89校 | 35校 | 39校 |
複数条件の1つ | 1校 | 4校 | 0校 | 2校 | 0校 | 2校 |
必須条件 | 5校 | 36校 | 17校 | 31校 | 6校 | 9校 |
成績基準を必須条件として設けるケースは、かつては近畿地区が最も多かったが、この1~2年は関東地区で31校→36校と急速に増加している。ただ、一部の有名私大を除き、全般的にAO入試の基準は緩やかである。
地区 区分 |
北海道 東北 |
関東 | 中部 | 近畿 | 中国 四国 |
九州 |
---|---|---|---|---|---|---|
設定なし | 28校 | 150校 | 68校 | 89校 | 32校 | 30校 |
複数条件の1つ | 12校 | 38校 | 7校 | 21校 | 4校 | 16校 |
必須条件 | 5校 | 68校 | 13校 | 37校 | 7校 | 15校 |
必須条件としての設定率が最も高いのは関東地区で26.6%、次いで近畿地区の25.2%、九州地区の24.6%が高い
推薦入試情報
◆2019推薦入試出願時の必須チェック事項
いよいよ2019年度推薦入試への出願が目前に迫ってきた。一般入試と異なり、高校側が責任を持って送り出す推薦入試の場合、担任や進路指導にはこの時期必ずやっておきたいチェック事項がある。その主要事項を簡潔に整理しておこう。
- <提出書類のチェック>
- 生徒が志望する大学への出願書類の最終チェックが必要。大学や推薦区分により、それぞれ提出書類は異なる。高校側で事前に統一の出願書類チェック表を用意し、生徒に記入・提出をさせるぐらいの周到さが必要で、どれか1つの書類が欠けただけでも出願不受理となるので十分注意したい。調査書では成績基準や履修状況および履修条件の確認、特記事項等が適切に記入されているかを綿密にチェックしておきたい。推薦書については、特に推薦理由を明確かつ効果的に表現する必要がある。生徒が作成する書類(志願理由書、活動報告書、自己推薦書等)については、当然ながら誤字・脱字を含む下書きの事前チェックが欠かせない。ただし、過度の添削は禁物で、生徒の個性を尊重すべきだろう。
- <面接力の最終チェック>
- 大学での試問事項を想定して、すでに何回かの面接トレーニングを実施されているはずだが、この直前期にはどの程度面接力が向上しているか、最終確認をし、欠点が残っていないか確認してほしい。国公私を問わず、面接は推薦入試の根幹をなすので、面接力の向上はきわめて大切だ。
- <小論文作成力や基礎学力の最終チェック>
- 小論文や基礎学力試験における弱点、不十分さが残っていないか確認して、適切に指摘・指導することによって、短期間でも十分生徒のフォローはできる。
- 以上の点を総合したうえで、受験生の合格可能性が60%程度以上と判断されれば、出願へゴーサインを出してよいが、合格可能性が50%を切るようなら、専願制の鉄則にふれない第2志望校(併願校)も準備しておくべきだろう。
◆推薦区分ごとの主要書類と併願手順の鉄則
推薦入試では、推薦区分によって提出書類にも差異があるが、自己推薦を除いて学校長の推薦書、調査書は必須の提出書類となる。ただし、近畿地区の一部では推薦書を要しない公募推薦も目立つ。各区分の主要書類を整理しておこう。
- (1)一般・特定教科・専門課程・女子学生・奨学生推薦
- この5区分では推薦書・調査書が中心。ただし大学によっては志願理由書のほか自己推薦書、活動報告書等の提出を求めるケースもある。国公立大のセ試併用型では推薦入試用の成績請求票も必要になる。
- (2)スポーツ推薦
- 学校長と部活動指導者の両方の推薦書が必要になるケースがあるので要注意。調査書も必須でほかに競技成績証明書、スポーツ競技歴書、活動報告書(資料)など。
- (3)有資格者推薦
- 推薦書、調査書のほか大学が指定する資格・検定の取得証明書(原本提出のケースもあるので要注意)、活動報告書など。
- (4)課外活動推薦・一芸一能推薦
- 推薦書、調査書のほか課外活動報告書、活動歴書、活動実績・検定取得証明などが必要で、なるべく詳細な資料を時系列方式で添付したほうがよい
- (5)自己推薦
- 中心となるのは受験生本人の自己推薦書だが、調査書も必須のケースが多く、活動報告書や高校側の志願者評価書などを求めるケースもある。
- (6)宗教関連推薦
- 学校長推薦書、調査書のほか洗礼証明書、宗教関係者の推薦書、宗教活動報告書などが必要になる。
- (7)地域推薦
- 学校長推薦書、調査書のほか地方自治体の首長や指定機関の推薦書が必要になる場合があるので注意したい。
- (8)その他の推薦
- 学校長推薦書、調査書のほか入試内容に応じて、関係団体・同窓会・OB教員等の推薦書等が必要になる。
また、どの区分であれ志願理由書、活動報告書等を提出させるケースもかなり多いので、大学の指定内容には十分注意しなければならない。
最後に推薦入試における併願手順については、専願制のみ注意すればよい。組合せは次の3パターンになる。(1)専願制第1志望+専願制第2志望(第1志望の合格発表後に試験を実施する大学がベスト)、(2)専願制第1志望+併願制第2志望(両方合格の場合は専願制に入学)、(3)併願制第1志望+併願制第2志望(入学手続締切日に注意して志望順位を決め、納付金を節約する)。専願制と併願制を組合わせて、両方に合格した場合、専願制に入学するのが鉄則である。詳細は弊社「推薦入学年鑑」の解説ページを参照してほしい。
ニュースフラッシュ
◆司法試験合格者が過去最低の1,525人
法務省は今月11日、今年度の司法試験の合格状況を公表した。5,238人(前年比729人減)が受験して、1,525人(同18人減)が合格し、全体の合格率は29.11%(同3.25ポイント増)だった。合格者数そのものは政府が2015年に目標とした「1,500人程度」を若干上回ったものの、新試験が始まった2006年以降で受験者数、合格者数とも最低の記録となった。
合格者の内訳は男性1,150人、女性375人で、平均年齢は28.8歳だった。最年長は68歳、最年少は19歳で2006年以降では最年少記録となった(これは予備試験通過者と推定)。法科大学院を修了しなくても受験資格を得られる予備試験を通過した受験者は433人、うち合格は過去最多だった前年からさらに46人増えて336人となり、合格率は実に77.60%と過去最高を記録した。その一方、法科大学院を修了した合格者は1,189人で、合格率は24.75%ときびしい。
さて、すでに37校にのぼる法科大学院が募集停止または停止を公表しているが、この中には国立大7校も含まれる。これらを除いて合格率の高い主要校をあげると、一橋大59.50%、京都大59.26%、東京大48.02%、神戸大39.53%、慶応義塾大39.20%、大阪大37.59%、早稲田大36.54%、九州大33.33%、名古屋大30.53%、東北大27.27%までが上位に名前を並べる。合格者数では上位に入る中央大は23.22%。私立大では慶応義塾大と早稲田大が群を抜いている。
合格者数の多い順にみると、京都大128人、東京大121人、慶応義塾大118人、早稲田大110人、中央大101人、一橋大72人、神戸大51人、大阪大50人がベスト8に並ぶ。この8校が全合格者の約5割を占めている。合格者数が1ケタの大学も相当数にのぼる。
また、受験者の多い順にみると、中央大435人、慶応義塾大・早稲田大各301人、東京大252人、京都大216人、明治大204人などが際立っている。
こうした状況について、上川法相は11日の会見で「危機的な状況。質の高い法曹を輩出するための環境整備は喫緊の課題」と述べ、志願者回復に向けた取り組みの必要性を示した。