AO・推薦入試エクストラ7月25日号
私立大・短大:2020AO入試の出願条件の設定状況
AO入試情報
◆私立大・短大:2020AO入試の出願条件の設定状況
弊社では例年AO入試に関する出願条件を(1)成績基準、(2)取得資格・活動実績の2区分で統計を取り続けている。最近の動向を展望してみよう。
<成績基準>
- ■私立大
- 2020年度の場合、成績基準を必須条件とするケースが112校(19.8%)で、前年の104校から8校増加して、2011年度の実施要項改訂以降、増加傾向をたどり続けている。ただし、高基準の設定は少ない。複数条件の1つとしているケースは8校でほぼ前年並み。成績基準を設けないケースは、前年の79.7%から79.2%へ若干減少した。
- ■私立短大
- 成績基準を必須条件としているのは全体のうちわずか23校(前年24校)、複数条件の1つとして設定しているのは7校のみで、両方を合わせても10.8%にすぎない。私立短大最大の重視項目は「入学熱意」といっても過言ではない。
<取得資格・活動実績>
- ■私立大
- 2020年度の場合、必須条件としているのは147校(22.5%)と多い(前年度は145校‐22.7%)。さらに複数条件の1つとして設定しているケースも90校(13.8%)にのぼり、両方を合せる36.3%で全体の4割近くを占める。この資格・活動実績重視の設定状況はAO発足以来、着実に鮮明化しており、AO入試の大きな特徴となっている。
- ■私立短大
- 活動実績・取得資格を必須条件としているケースは、わずか26校(9.3%)どまりで、前年度と比べるとやや減少している。複数条件の1つとして設定しているケース23校(8.2%)を加えると49校(17.5%)で、4大と比べてかなり差異がある。AO発足以来、このハードルの低さはほとんど変化しておらず、私立短大でAO入学率が3割近くを占める大きな要因といえよう。
◆私立大:2020AO入試の地区別出願条件設定の概要
2020全国版「AO入試年鑑」で成績基準、取得資格・活動実績に関する地区別統計がまとまったのでご紹介する(入試区分・学部等で異なる場合は複数扱いで集計)。
地区 | 必須条件 | 複数条件の1つ | 設けない |
---|---|---|---|
北海道・東北 | 5校(11.1%) | 1校(2.2%) | 39校(86.7%) |
関東 | 39校(18.3%) | 2校(0.9%) | 172校(80.8%) |
中部 | 17校(18.5%) | 0 | 75校(81.5%) |
近畿 | 37校(27.4%) | 3校(2.2%) | 95校(70.4%) |
中国・四国 | 7校(16.7%) | 0 | 35校(83.3%) |
九州 | 7校(14.0%) | 2校(4.0%) | 41校(82.0%) |
上記の一覧表に示す通り、必須条件としての設定率が最も高いのは近畿地区。その他の地区はいずれも10%台で、推薦入試と比べて成績基準のハードルはきわめて低い。
地 区 | 必須条件 | 複数条件の1つ | 複数条件の1つ |
---|---|---|---|
北海道・東北 | 7校(14.9%) | 12校(25.5%) | 28校(59.6%) |
関東 | 67校(26.0%) | 33校(12.8%) | 158校(61.2%) |
中部 | 14校(15.4%) | 5校(5.5%) | 72校(79.1%) |
近畿 | 38校(25.5%) | 19校(12.8%) | 92校(61.7%) |
中国・四国 | 6校(14.0%) | 4校(9.3%) | 33校(76.7%) |
九州 | 15校(23.4%) | 17校(26.6%) | 32校(50.0%) |
必須条件としての設定率が高いのは関東、近畿、九州の3地区。複数条件の1つとして設定率が高いのは、北海道・東北、九州の2地区だろう。また、九州地区は「設けない」ケースが50%と低い点も注目される。
推薦入試情報
◆2020年度公募制推薦入試の実施状況が判明
現在、弊社では9月初旬発行予定の全国版「推薦入学年鑑」の制作に全力を注いでいるが、このほど全ての大学・短大の推薦実施状況が判明したので、速報でご紹介する。
募集校 | 公募実施校 | 指定校のみ | 公募実施率 | 実施せず | |
---|---|---|---|---|---|
国立大 | 82校 | 76校 | 0校 | 92.7% | 6校 |
公立校 | 91校 | 89校 | 0校 | 97.8% | 2校 |
私立大 | 583校 | 555校 | 25校 | 95.2% | 3校 |
公立短大 | 13校 | 13校 | 0校 | 100% | 0校 |
私立短大 | 290校 | 286校 | 4校 | 98.6% | 0校 |
7月上旬現在、募集停止は私立大3校、私立短大6校が判明しており、2020年度の学生募集校は上記のとおりとなっている。
国立大では、新規導入校はないが、奈良教育大がAO入試に移行するため、前年より1校減少し76校。今年度、実施しないのは北海道大、弘前大、東北大、東京芸術大、京都工芸繊維大、奈良教育大の6校となる。
公立大は、1校が新たに加わる。推薦入試を実施しないのは、京都市立芸術大と九州歯科大である。
私立大の学生募集校は、1校増加して583校。公募実施校は前年と同じ555校。公募の新規導入校はなく、完全指定校制は前年より2校増え25校だが、関東地区だけで23校(うち東京都が16校)を占める。公募・指定校制とも実施しないのは、東京慈恵会医科大、日本医科大、立命館アジア太平洋大の3校である。
公立短大は13校全てで実施。私立短大は募集停止が6校で、学生募集校数は290校と前年より6校減。その98.6%に当たる286校で公募制を実施する。完全指定校制は北海道武蔵女子短大、宇都宮文星短大、城西短大、鶴川女子短大の計4校。公募・指定校制とも実施しない短大は今年度は皆無となっている。
◆私立大:2020地区別公募推薦実施校と完全指定校制一覧
弊社の全国版「推薦入学年鑑」で実施した2020年度の実施状況等の調査から、地区別の実施状況および完全指定校制の私立大・短大をレポートしておこう。
実施校数 | |||||
---|---|---|---|---|---|
国立大 | 公立大 | 私立大 | 公立短大 | 私立短大 | |
北海道・東北 | 11校 | 17校 | 57校 | 4校 | 36校 |
関東 | 18校 | 10校 | 189校 | 1校 | 78校 |
中部 | 15校 | 23校 | 91校 | 3校 | 53校 |
近畿 | 11校 | 13校 | 124校 | 1校 | 56校 |
中国・四国 | 10校 | 15校 | 42校 | 2校 | 27校 |
九州・沖縄 | 11校 | 11校 | 52校 | 2校 | 36校 |
計 | 76校 | 89校 | 555校 | 13校 | 286校 |
私立大の場合、やはり関東地区が群を抜き、次いで近畿・中部地区の大都市圏に集中するが、その他の地区もほぼ全てが公募推薦を実施している。
私立短大の場合、大都市圏で短大数が減少しているのが特徴(4大に吸収など)で、各地区の実施状況は4大ほど差がない点が注目される。
次に完全指定校制で実施するのは、自治医科大、文星芸術大、城西大、秀明大、嘉悦大、国学院大、国際基督教大、駒澤大、白百合女子大、成蹊大、成城大、聖心女子大、東京工科大、東京女子大、東京神学大、東京造形大、武蔵大、武蔵野音楽大、明治学院大、立教大、関東学院大、洗足学園音楽大、横浜美術大、南山大、西南学院大の25校で前年より1校増えている。また、北海道・東北、近畿、中四国の3地区に完全指定校制が皆無なのも注目される。
ニュースフラッシュ
◆令和2年度開設予定の大学の学部等の設置届出一覧(平成31年4月分)
例年なら早くに公表される4月分の設置届出一覧が7月に入ってようやく公表された。その届出一覧を速報でご紹介するが、前年に比べるとやや増加している。
[1]私立大学の学部の設置(23校)
- ■東北工業大
- 建築学部=建築学科135
- ■十文字学園女子大
- 人間生活学部=健康栄養学科120、食物栄養学科120、食品開発学科40、人間福祉学科70、教育人文学部=幼児教育学科170、児童教育学科80、心理学科120、文芸文化学科70、社会情報デザイン学部=社会情報デザイン学科130
- ■尚美学園大
- スポーツマネジメント学部=スポーツマネジメント学科160
- ■日本赤十字看護大
- さいたま看護学部=看護学科80
- ■麗澤大
- 国際学部=国際学科80、グローバルビジネス学科80
- ■和洋女子大
- 国際学部=英語コミュニケーション学科60、国際学科60
- ■桜美林大
- 航空・マネジメント学群=航空・マネジメント学類140
- ■昭和女子大
- 環境デザイン学部=環境デザイン学科210
- ■成蹊大
- 経済学部=経済数理学科80、現代経済学科150、経営学部=総合経営学科290
- ■専修大
- 国際コミュニケーション学部=日本語学科71、異文化コミュニケーション学科150
- ■東京医療保健大
- 東が丘看護学部=看護学科100、立川看護学部=看護学科100
- ■東京都市大
- 建築都市デザイン学部=建築学科120、都市工学科100
- ■明星大
- 建築学部=建築学科120
- ■目白大
- 心理学部=心理カウンセリング学科125
- ■神奈川大
- 国際日本学部=国際文化交流学科170、日本文化学科60、歴史民俗学科70
- ■中京大
- 国際学部=国際学科150、言語文化学科140
- ■京都文教大
- こども教育学部=こども教育学科90
- ■大阪人間科学大
- 心理学部=心理学科90、保健医療学部=理学療法学科60、作業療法学科40、言語聴覚学科40
- ■甲南女子大
- 国際学部=国際英語学科110、多文化コミュニケーション学科80
- ■宝塚医療大
- 和歌山保健医療学部=リハビリテーション学科100
- ■広島国際大
- 健康科学部=医療福祉学科100、医療経営学科90、心理学科100、医療栄養学科60
- ■宇部フロンティア大
- 心理学部=心理学科70
- ■西南学院大
- 外国語学部=外国語学科300
[2]私立短大の学科新設(2校)
- ■富山福祉短大
- 国際観光学科30
- ■福岡工業大短大部
- 情報メディア学科160
[3]私立大の学科新設(16校)
- ■藤女子大
- 人間生活学部=子ども教育学科80
- ■東北工業大
- 工学部=環境応用化学科65
- ■浦和大
- 総合福祉学部=現代社会学科50
- ■専修大
- 経済学部=現代経済学科265、生活環境経済学科266
- ■拓殖大
- 外国語学部=国際日本語学科50
- ■東京都市大
- 理工学部=自然科学科60
- ■日本女子体育大
- 体育学部=スポーツ科学科220、ダンス学科100、健康スポーツ学科180、子ども運動学科40
- ■神奈川工科大
- 看護学部=管理栄養学科80、臨床工学科40(看護→健康医療科学部へ名称変更)
- ■愛知学泉大
- 家政学部=管理栄養学科80、ライフスタイル学科40、こどもの生活学科70
- ■名城大
- 理工学部=環境創造工学科80
- ■京都外国語大
- 外国語学部=ロシア語学科20
- ■大阪総合保育大
- 児童保育学部=乳児教育学科70
- ■森ノ宮医療大
- 保健医療学部=診療放射線学科80
- ■神戸常盤大
- 保健科学部=診療放射線学科75
- ■広島工業大
- 情報学部=情報コミュニケーション学科110
- ■広島国際大
- 保健医療学部=救急救命学科50