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AO・推薦入試エクストラ9月25日号

国公立大:2017推薦入試の学部系統別志願動向(統計レポート2)

AO入試情報

私立大:2018AO入試全国統計レポート(2)

弊社が毎年実施しているAO入試に関する諸統計の結果について、数回に分けてレポートする。第2回は、私立大の学部別実施状況を中心にご紹介する。

まず、AO入試実施校は473校で、前年度に続き1校増え、AO実施率は81.6%となった。地区別の実施校数は次のとおりで、やはり関東・中部・近畿地区での実施が目立つ。

北海道・東北 関東 中部 近畿 中国・四国 九州
41校 178校 75校 101校 36校 42校

学部系統別の実施状況(複合学部は複数扱い)をみると、計1,454学部で前年より68学部増加している(前年度53学部増)。昨今、学校数はやや頭打ちの傾向にあるが、学部数は依然として増加傾向にある。内訳は次のとおり。

学部系統 2018年度学部数 2018年度学部比率
人文科学 253 17.4%
社会科学 487 33.5%
教育(教員養成) 175 12.0%
理工 128 8.7%
農・水産・獣医 12 0.8%
保険・医療 159 11.0%
生活(栄養) 89 6.1%
芸術 72 5.0%
スポーツ(健康) 79 5.4%

本年度の実施学部数では、社会科学系の増加数が最も大きく、次いで保健・医療系、教育(教員養成)系の増加が前年に続いて目立ったが、スポーツ系の増加ぶりも注目される。近年、教育・医療など資格型学部の新増設が際立っており、これらの系統では今後もAO実施校が増えると予測される。社会科学系は、学部の統合・再編が一段落して増加に転じたとみられる。

全体の実施学部数は、推薦入試の計1,827学部と比べてまだ少なく、特に保健・医療系は実施数がまだ推薦入試の半分程度にとどまっている。

◆私立大:2018AO入試の地区別学部実施状況

ここでは、私立大の2017年度AO入試に関する地区別の実施学部状況をご紹介する。私立大では地区ごとの実施状況にかなり差異があるので、進路指導に際しては十分留意してほしい。なお、弊社統計では複合領域の学部は複数で集計している。

系統 北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
人文科学 16 99 36 60 22 20
社会科学 37 189 75 115 33 38
教育(教員養成) 11 67 25 41 20 11
理工 8 58 12 25 13 12
農・水産・獣医 0 8 1 1 1 1
保険・医療 12 63 25 32 19 8
生活(栄養) 4 29 14 21 14 7
芸術 7 26 8 18 7 6
スポーツ(健康) 4 26 18 20 5 6
(計) 99 565 214 333 134 109

全般的には関東地区の学部数が群を抜いている。どの地区も社会科学系が最も多いが、特に北海道・東北地区では約4割を占める。最も学部数の少ない農・水産・獣医系は、全12学部のうち8学部が関東地区に集中している。人気の高い教育系、保健・医療系は各地区とも相当数が実施している。

推薦入試情報

◆国公立大:2017推薦入試の学部系統別志願動向(統計レポート2)

これまで弊社では私立大の公募推薦入試に関する様々な統計を実施しているが、本年度は国公立大の学部系統別志願動向の調査統計もまとめたのでレポートしておきたい。

国立大の学部系統別志願動向は次のとおりであった。

<国立大>
学部統計 志願者数 合格者数 競争率(前年度)
人文科学 1,546人 583人 2.7倍(3.0倍)
社会科学 5,063人 2,025人 2.5倍(2.4倍)
教育(教員養成) 6,205人 2,276人 2.7倍(2.9倍)
理学 1,467人 545人 2.1倍(2.1倍)
工学 6,334人 2,819人 2.2倍(2.2倍)
農・水産 2,626人 1,006人 2.6倍(2.7倍)
保健・医療 6,472人 1,861人 3.5倍(3.4倍)
生活科学 260人 67人 3.9倍(4.4倍)
芸術・スポーツ 716人 289人 2.5倍(2.6倍)
(計) 30,389人 11,471人 2.6倍(2.7倍)

国立大は全て公募制で入試結果の非公表校もないので、弊社集計と11月公表される文科省統計の誤差も小さいとみられる。まず全体的に志願者数の上位をみると、保健・医療系、工学系、教育・教員養成の3分野が6千人を超えてベスト3を占める。次いで社会科学系の5,063人、農・水産系の2,626人が続いている。理系(理・工・農・保健)の志願者数は約1万7千人で、全体の54.6%を占める。教育・教員養成系が第3位に入っていることは、この分野の志望者は女子が多いこともあり、推薦志向が強いとみられている。

一方、合格者でみると、工学系、教育・教員養成、社会科学系、保健・医療系の順に多い。最も合格者数が少ないのは生活科学系でわずか67人にとどまっている。

その結果、競争率では生活科学系の3.9倍が最も高く、次いで保健・医療系の3.5倍、人文科学系の3.0倍、教育・教員養成系の2.7倍、農・水産系の2.6倍の順となっている。理・工学系は倍率が低く、推薦入試活用の余地がまだ大きいと言ってよい。

◆公立大:2017学部系統別志願動向

ここでは公立大の2017公募推薦入試の志願動向をレポートする。衆知のとおり、公立大は一部で指定校制を実施しており、全体の数値は弊社統計と文科省統計では若干差異が生じることをおことわりしておく。公立大の2017公募推薦入試結果の集計状況は以下のとおり。

学部系統 志願者数 合格者数 競争率(前年度)
人文科学 2,313人 903人 2.6倍(2.6倍)
社会科学 5,639人 2,638人 2.1倍(2.0倍)
教育(教員養成) 584人 209人 2.8倍(2.9倍)
理・工学 1,814人 868人 2.1倍(2.3倍)
農・水産 561人 243人 2.3倍(2.2倍)
保健・医療 5,703人 1,959人 2.9倍(2.9倍)
生活科学 868人 195人 4.5倍(4.4倍)
芸術・スポーツ 1,035人 314人 3.3倍(3.0倍)
(計) 18,517人 7,329人 2.5倍(2.5倍)

公立大における推薦実施学部数は、保健・医療系と社会科学系の2分野が群を抜いて多いのが特徴だが、志願者数も保健・医療系が5,703人、社会科学系5,639人とこの2分野だけが5千人を超えている。また、人文・社会科学系を合わせた2分野の志願者数は国立大を上回っている。

合格者数をみると、社会科学系、保健・医療系の2分野が突出しており、最も少ないのは国立大と同じく生活科学系の195人となっている。

競争率をみると、生活科学系の4.5倍が最も高く、次いで芸術・スポーツ系の3.3倍、保健・医療系の2.9倍、教育・教員養成系の2.8倍の順となっている。

公立大では地元型が多いこともあって、平均倍率は2.5倍と国立大より若干低いが、全国枠では倍率が高くなる傾向にあることに留意したい。

ニュースフラッシュ

◆東京23区内私立大の定員増を認めぬ方針を公表

文科省は8月中旬、東京23区内にある私立大の学生の定員増を今後認めない方針を公表し、大学設置認可に関する告示を改正する。大学志願者の東京一極集中を和らげる狙いだが、その効果のほどは不透明だ。

今回公表した告示の改正案では、すでに校舎の新設を決めているなどの例外を除き、23区内の私立大の定員増を認めない。新学部を設ける場合は、既存の学部を廃止するなど、全体の定員が増えないよう求める。1か月間のパブリックコメントを経て、正式に決める。

今年度の学校基本調査(速報値)によると、23区内の大学に通う学部生は約46万3千人(うち私立大約43万6千人)で、全国の約18%を占め、増加の一途を辿っているが、地方では定員割れに苦しむ私立大が多い。そのため、政府はこの6月、23区内の定員を抑制する方針を閣議決定し、文科省の告示改正で2018~19年度の定員増を認めないこととし、その後は法整備によって規制を続ける方針だった。

文科省は毎年3月と6月に定員増の申請を受けつけている。今年3月には23区内の12私立大が2018年度について計2,183人の定員増を申請した。文科省は政府の抑制方針を受けて再検討を求めたが、私立大側は応じず、そのまま認めたといういきさつがある。一方、6月分の23区内の受け付けは10月まで延期されたが、告示改正で認められない見通しとなった。

日本私立大学連盟は5月、定員規制について「学問の自由や教育を受ける権利に対する重大な制約となり得る」と指摘したが、やはり過度の一極集中は望ましくない。全国知事会では、逆に定員抑制を早く法制化するよう求めている。

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