AO・推薦入試エクストラ9月25日号
私立大:私立大:2020AO入試全国統計レポート(2)
AO入試情報
◆私立大:2020AO入試全国統計レポート(2)
弊社が毎年実施しているAO入試に関する諸統計の結果について、数回に分けてレポートする。第1回は、私立大の学部別実施状況を中心にご紹介する。
まず、AO入試実施校は496校で、前年度より16校増え、AO実施率は85.1%と史上最高になった。地区別の実施校数は次のとおりで、やはり関東・中部・近畿地区での実施が目立つ。
北海道・東北 | 関 東 | 中 部 | 近 畿 | 中国・四国 | 九 州 |
---|---|---|---|---|---|
43校 | 187校 | 81校 | 105校 | 36校 | 44校 |
学部系統別の実施状況(複合学部は複数扱い)をみると、計1,608学部で前年より89学部増加している(前年度65学部増)。昨今、学校数はやや頭打ちの傾向だったが、2020年度は学校数・学部数とも大幅に増加した。内訳は次のとおり。
学部系統 | 2020年度学部数 | 2020年度学部比率 |
---|---|---|
人文科学 | 272 | 16.9% |
社会科学 | 517 | 32.2% |
教育(教員養成) | 192 | 11.9% |
理工 | 134 | 8.3% |
農・水産・獣医 | 20 | 1.3% |
保健・医療 | 211 | 13.1% |
生活(栄養) | 98 | 6.1% |
芸術 | 77 | 4.8% |
スポーツ(健康) | 87 | 5.4% |
本年度も実施学部数では、保健・医療系の増加数が最も大きく、次いで社会科学系の増加が目立ったが、人文系、農・水産系の増加ぶりも注目される。近年、教育・医療など資格型学部の新増設が際立っており、これらの系統では今後もAO実施校が増えると予測される。社会科学系は、学部の統合・再編が一段落して増加に転じたとみられる。
全体の実施学部数は、推薦入試の計1,868学部と比べてまだ少なく、特に保健・医療系は実施数がまだ推薦入試の65%程度にとどまっている。
◆私立大:2020AO入試の地区別学部実施状況
ここでは、私立大の2020年度AO入試に関する地区別の実施学部状況をご紹介する。私立大では地区ごとの実施状況にかなり差異があるので、進路指導に際しては十分留意してほしい。なお、弊社統計では複合領域の学部は複数で集計している。
系統 | 北海道 東北 |
関東 | 中部 | 近畿 | 中国 四国 |
九州 |
---|---|---|---|---|---|---|
人文科学 | 17 | 107 | 37 | 63 | 24 | 24 |
社会科学 | 42 | 206 | 74 | 117 | 37 | 41 |
教育(教員養成) | 13 | 70 | 29 | 45 | 21 | 14 |
理工 | 8 | 63 | 13 | 25 | 12 | 13 |
農・水産・獣医 | 0 | 14 | 2 | 1 | 2 | 1 |
保健・医療 | 17 | 78 | 36 | 49 | 20 | 11 |
生活(栄養) | 7 | 31 | 16 | 21 | 14 | 9 |
芸術 | 8 | 30 | 8 | 18 | 7 | 6 |
スポーツ(健康) | 5 | 26 | 21 | 20 | 8 | 7 |
(計) | 117 | 625 | 236 | 359 | 145 | 126 |
全般的には関東地区の学部数が群を抜いている。どの地区も社会科学系が最も多いが、特に北海道・東北地区では4割近くを占める。最も学部数の少ない農・水産・獣医系は、全20学部のうち14学部が関東地区に集中している。人気の高い教育系、保健・医療系は各地区とも相当数が実施している。
推薦入試情報
◆国公立大:2019推薦入試の学部系統別志願動向(統計レポート2)
これまで弊社では私立大の公募推薦入試に関する様々な統計を実施しているが、前年度から国公立大の学部系統別志願動向の調査統計もまとめているのでレポートしておきたい。
<国立大>
国立大の学部系統別志願動向は次のとおりであった。
学部系統 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率(前年度) |
---|---|---|---|
人文科学 | 1,571人 | 569人 | 2.8倍(2.8倍) |
社会科学 | 5,331人 | 2,172人 | 2.5倍(2.4倍) |
教育・教員養成 | 6,290人 | 2,278人 | 2.8倍(2.8倍) |
理学 | 1,127人 | 528人 | 2.1倍(2.2倍) |
工学 | 6,380人 | 2,845人 | 2.2倍(2.2倍) |
農・水産 | 2,361人 | 955人 | 2.5倍(2.3倍) |
保健・医療 | 6,423人 | 1,948人 | 3.3倍(3.4倍) |
生活科学 | 230人 | 63人 | 3.7倍(4.1倍) |
芸術・スポーツ | 759人 | 347人 | 2.2倍(2.5倍) |
(計) | 30,472人 | 11,705人 | 2.6倍(2.6倍) |
国立大は全て公募制で入試結果の非公表校もないので、弊社集計と11月公表される文科省統計の誤差も小さいとみられる。まず全体的に志願者数の上位をみると、保健・医療系、工学系、教育・教員養成の3分野が6千人を超えてベスト3を占める。次いで社会科学系の5,331人、農・水産系の2,301人が続いている。理系(理・工・農・保健)の志願者数は約1万6千人で、全体の53.5%を占める。教育・教員養成系が第3位に入っていることは、この分野の志望者は女子が多いこともあり、推薦志向が強いとみられている。
一方、合格者でみると、工学系、教育・教員養成、社会科学系、保健・医療系の順に多い。最も合格者数が少ないのは生活科学系でわずか63人にとどまっている。
その結果、競争率では生活科学系の3.7倍が最も高く、次いで保健・医療系の3.3倍、人文科学系の2.8倍、教育・教員養成系の2.8倍、農・水産系の2.5倍の順となっている。理・工学系は倍率が低く、推薦入試活用の余地がまだ大きいと言ってよい。
◆公立大:2019学部系統別志願動向
ここでは公立大の2019公募推薦入試の志願動向をレポートする。衆知のとおり、公立大は一部で指定校制を実施しており、全体の数値は弊社統計と文科省統計では若干差異が生じることをおことわりしておく。公立大の2019公募推薦入試結果の集計状況は以下のとおり。
学部系統 | 志願者数 | 合格者数 | 競争率(前年度) |
---|---|---|---|
人文科学 | 2,127人 | 797人 | 2.7倍(2.7倍) |
社会科学 | 6,213人 | 2,875人 | 2.2倍(2.1倍) |
教育・教員養成 | 614人 | 268人 | 2.3倍(2.5倍) |
理・工学 | 2,111人 | 975人 | 2.2倍(2.3倍) |
農・水産 | 654人 | 278人 | 2.4倍(2.1倍) |
保健・医療 | 5,963人 | 2,116人 | 2.8倍(2.8倍) |
生活科学 | 831人 | 245人 | 3.4倍(3.8倍) |
芸術・スポーツ | 1,009人 | 316人 | 3.2倍(3.2倍) |
(計) | 19,522人 | 7,870人 | 2.5倍(2.5倍) |
公立大における推薦実施学部数は、保健・医療系と社会科学系の2分野が群を抜いて多いのが特徴だが、志願者数も保健・医療系が5,963人、社会科学系6,213人とこの2分野が群を抜いて多い。また、人文・社会科学系を合わせた文系2分野の志願者数は国立大を上回っている。
合格者数をみると、社会科学系、保健・医療系の2分野が突出しており、最も少ないのは国立大と同じく生活科学系の245人となっている。
競争率をみると、生活科学系の3.4倍(前年3.8倍)が最も高く、次いで芸術・スポーツ系の3.2倍、保健・医療系の2.8倍、人文系の2.7倍の順となっている。
公立大では地元型が多いこともあって、平均倍率は2.5倍と国立大より若干低いが、全国枠では倍率が高くなる傾向にあることに留意したい。
ニュースフラッシュ
◆大学入学共通テスト:国語記述式の段階評価法など公表
大学入試センターは、8月下旬、2021年度大学入学共通テストについて、「国語における記述式問題の段階表示」と「英語におけるイギリス英語の使用」について詳細を公表した。国語は小問、大問ともに5段階で表示して受験者の学力評価に用いる。
大学入学共通テストでは、従来の「知識」「技能」に加えて「思考力」「判断力」「表現力」を重視する問題を出題する方向性が示されており、国語と数学で記述式問題が導入され、英語は「リーディング」と「リスニング」が同配点になるなどの変更点がある。
国語の記述式の成績については、別図のとおり、小問は内容面に関する評価をa、b、cの3段階で表示することに加えて、解答の書き表し方に関する評価を「*(アスタリスク)」で付記することで、計5段階の詳細な情報を示すとした。具体的には「複数の正答の条件を全て満たしており、全体として十分な解答」を「a」、「aのうち、解答の書き表し方について『マイナス評価』が1つ以上ある解答」を「a*」とする。
大問については、小問の成績を踏まえ、A、B、C、D、Eの5段階で表示する。小問1、2ともにa、またはa*評価で完全な正答を「A」、小問の段階評価の割合により、「小問1、2いずれか完全な正答」を「B」または「C」、「小問1、2ともに完全な正答なし」を「D」または「E」で表示。各大学は、大問の成績および小問の成績を用いて受験者の学力を評価することができる。
また同時に、英語の「問題作成方針」について、大学入試センター試験の英語表記は「アメリカ英語」を使用していたが、大学入学共通テストでは「アメリカ英語に加えて、場面設定によってイギリス英語を使用することもある」と発表。国際的なコミュニケーション手段として通用している「現代の標準的な英語」には多様性があることに気付かせるという学習指導要領の内容を踏まえ、国際的に広く使用されているアメリカ英語に加えて、場面設定に応じてイギリス英語を使用する。なお、リスニングの読み上げ音声については、多様な話者による現代の標準的な英語を使用するとしている。
[大学入学共通テスト国語における記述式問題の段階表示]