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AO・推薦入試エクストラ6月10日号

弊社調査で2012年度のAO入試実施状況が判明

AO入試情報

~弊社調査で2012年度のAO入試実施状況が判明~

現在、弊社では全国版「AO入試年鑑」を7月上旬に全国の高等学校へお届けするために作業を進めているが、6月1日時点で全ての国公私立大・短大のAO入試実施状況が次のとおりまとまったのでご報告しておきたい。

設置区分 募集校数 AO施校数 AO実施率(前年度)
国立大 82校 47校 57.3%(57.3%)
公立大 80校 21校 26.3%(26.6%)
私立大 573校 467校 81.5%(81.2%)
公立短大 18校 4校 22.2%(22.2%)
私立短大 332校 262校 78.9%(79.2%)

国立大では、東京工大の第一類が推薦へ転換した代わりに、第二~第六類が新たにAOを導入したが、全体の実施校数に変化はない。公立大では公設民営から公立大学法人に移行した鳥取環境大が加わったが、京都府立大が廃止して、実施校数は変わらないものの、実施率は若干下がった。

私立大は学生募集校数が前年の569校から573校へ増加。うち467校が実施し、実施率は前年の81.2%から81.5%と若干上昇している。新規実施の顔ぶれは、神奈川歯科大、横浜商科大、名古屋外国語大、名古屋学芸大、熊本学園大の5校。

公立短大は募集校数・AO実施校数とも前年どおり。私立短大では本年度も募集停止が6校あり、学校数は前年の337校から332校に減少。弘前医療福祉大短大部、秋草学園短大、大谷大短大部などが新規導入するが、AO実施校数は262校となり、実施率もやや前年度を下回っている。

◆私立大で実施率トップは中国・四国地区の88.4%

弊社では全国公私立大・短大の2012年度AO入試の実施状況と併せて、地区ごとの実施状況の調査を行った。その結果を下記のグラフでご紹介しておく。

 

地区別:AO入試実施率(私立大・私立短大)

 

私立大のAO実施校は、やはり関東地区が169校と群を抜いて多く、次いで近畿、中部の順となるが、実施率でみると43校のうち38校が実施する中国・四国地区の実施率が88.4%で最も高い。90校のうち79校が実施する中部地区も87.8%ときわめて高い。逆に最も低いのは北海道・東北地区である。

私立短大におけるAO実施率は、九州地区の92.3%がトップで、次いで中国・四国地区の90.3%、関東地区の81.6%が高いが、北海道・東北はわずか52.6%と地区によって大きな差異がある。

推薦入試情報

~2012年度:私立大一般公募制の成績基準の動向~

5月10日号の本メルマガで、「大学入学者選抜実施要項」の変更に伴う、私立大側の対応を追跡調査する旨を予告したが、5月末現在で東日本156校、西日本163校から回答を得たので、まだ中間集計の段階ではあるが、推薦入試に関する2012年度の動向を探ってみよう。

「推薦入試における学力把握措置」として、実施要項では「教科の評定平均値を出願要件や合否判定に用いることとし、その旨を募集要項に明記すること」と定めた。

弊社の特別調査ではまず、公募制推薦の成績基準に関する対応をたずねたが、中間集計は次のとおりとなった。

<質問> 東日本 西日本
(1)出願要件として明示 89校(64.5%) 45校(32.8%)
(2)合否判定の一環として明示予定 6校( 4.4%) 51校(37.2%)
(3)出願要件合否判定両面で用い明示予定 22校(15.9%) 23校(16.8%)
(4)いずれでも明示しない予定 12校( 8.7%) 9校( 6.6%)
(5)未定(検討中) 9校( 6.5%) 9校( 6.6%)
(計) 138校(100 %) 137校(100 %)

東日本と西日本では高校の成績の用い方がかなり異なることが分かるはず。東日本では出願要件(基準設定)として用いるのが主流なのに対して、西日本では評定値を点数化して総点に加算する(2)の用い方が目立ち、出願要件としての設定はほぼ従前どおりといったところだろう。本来なら(3)の用い方が推薦入試で最も望ましいと考えられるが、このシステムを採用している私立大は少ない。

◆2012年度:私立大一般公募制における学力試験の動向

「推薦入試における学力把握」に関して、弊社の特別調査では「教科の考査や総合問題を含む筆記試験」(小論文は除く)の実施状況についても調査を実施し、中間集計では次のような結果となった。

 

推薦入試における学力試験実施校数(東・西比較)

 

学力試験の実施状況でも、東日本と西日本とではきわめて対照的な動向を示しているが、実は成績基準の用い方とも密接に連動していることに留意すべきだろう。学力把握措置の1つとして学力検査が認められはしたが、新規に導入する私立大は今年度もきわめて少ないようだ。

ニュースフラッシュ

~平成22年度大学等卒業者の就職状況調査を公表~

文部科学省と厚生労働省は、平成23年3月大学等卒業者の就職状況を共同で調査し、このほど東日本大震災の被災地を除く4月1日現在の状況(暫定値)を取りまとめ公表した。なお、被災地を含めた調査結果については、後日公表するとしている。

さて、就職率(内定率)の概要だが、予測どおりきびしい状況を呈している。大学(学部)は91.1%で前年同期比0.7ポイント減。短期大学は84.1%で同4.3ポイント減。高等専門学校は98.5%で同1.0ポイント減。専修学校は86.1%で1.3ポイント減という状況で、全体でも90.3%、同1.1ポイント減となっている。大学・短大・高専・専修のいずれも、過去8年の中で最も低い水準で、私立大を卒業する若者の10%が就職未定の状況にさらされている。男女別にみると、男子大学生が91.0%(1.0ポイント減)、女子大学生が91.2%(0.3ポイント減)となっている。ピークだった平成20年3月卒の男子卒の男子96.9%、女子97.3%と比べると、今年度のきびしさが明らかだろう。文系・理系別にみると、文系が90.7%(0.3ポイント減)、理系が93.0%(2.2ポイント減)で、就職に強いはずの理系卒にもかげりがうかがえる。

大卒の就職状況の悪化は社会問題で、文科省・厚労省・経産省を中心に政府は就職支援に力を入れてはいるが、前記の調査結果を大きく好転させることは難しいようだ。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

~AO入試(3)国公私立大・短大別にみた出願要件の概要と特徴~

今日のAO入試における出願要件の設定状況は、国立・公立・私立ごとかなり差異があり、それぞれの概要と特徴を十分ふまえて、生徒の指導に臨む必要がある。

■国立大

全般的には推薦入試と比べ成績基準の設定は少ない。設定しているケースでは、ほぼ推薦入試と同レベルかやや低いと考えてよい。センター試験を課すか否かによっても違いがあり、センター試験を用いるAO入試では成績基準を設けないのが一般的だ。

ただし、国立大のAO入試では、アドミッションポリシーと「求める学生像」を厳密に設定しているのが特徴で、これに沿って出願希望者のマッチングを相当に検証しなければならないだろう。

■公立大

公立大におけるAO入試は、推薦入試と比べると全国型を主流としている。成績基準の設定は全般に少なく、設定校でもさほど高くはない。ただし、一部の公立大では出願要件に各種の取得資格を組み入れているので注意する必要がある。

■私立大

近年の私立大AO入試では、アドミッションポリシーや「求める学生像」を明示する傾向が定着しつつあるので、十分留意してほしい。これが、出願要件の中核をなすことは言うまでもなく、特に上位私立大では重視される。

弊社の2011年度調査で、AO入試に成績基準を設けた私立大は、462校のうち72校、全体の15.6%と少ない。それでも前年度よりは若干増加しており、この傾向は2012年度も続くと予測される。

一方、取得資格・活動実績を何らかの形で出願要件に組み込んだ私立大は、462校のうち181校(39.2%)と多い。ただし必須要件にしているケースはもちろん少なく、ユニーク推薦の実施状況に類似している。

■公立短大

AO実施4校のうち、成績基準の設定は1校(3.0以上)、取得資格の設定も1校という状況で、出願要件はきびしくない。ただ、「求める学生像」へのマッチング度は十分検討する必要がある。

■私立短大

全般に私立短大におけるAO入試の出願要件は、きわめて緩やかと考えてよい。2010年度の弊社調査では、成績基準の設定校は267校のうち11校(4.1%)とわずか。取得資格・活動実績を何らかの形で出願要件に組み込んでいる私立短大も267校のうち51校(19.1%)と4大と比べるとずっと少ない。

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