AO・推薦入試エクストラ9月10日号
私立大:2019AO入試結果の集計レポート
AO入試情報
◆私立大:2019AO入試結果の集計レポート
弊社では全国版「AO入試年鑑」の発刊に際して、私立大のAO入試の動向を把握するため、毎年、多角的な統計作業を実施している。今回は、まず2019AO入試結果の集計状況からレポートしておきたい(データ公表校のみ集計)。
系統 | 志願者数 | 合格者数 | 平均倍率(前年度) |
---|---|---|---|
(1)人文科学 | 17,769人 | 8,517人 | 2.1倍(1.8倍) |
(2)社会科学 | 39,522人 | 18,768人 | 2.1倍(1.8倍) |
(3)教育・教員養成 | 9,388人 | 4,880人 | 1.9倍(1.8倍) |
(4)理工学 | 6,211人 | 3,403人 | 1.8倍(1.8倍) |
(5)農・水産・獣医 | 904人 | 665人 | 1.4倍(1.4倍) |
(6)保健・医療 | 16,710人 | 5,783人 | 2.9倍(3.1倍) |
(7)生活科学(栄養) | 4,224人 | 2,537人 | 1.7倍(1.8倍) |
(8)芸術 | 12,377人 | 6,467人 | 1.9倍(1.8倍) |
(9)スポーツ・体育(健康) | 9,962人 | 4,784人 | 2.1倍(2.0倍) |
(計) | 117,067人 | 55,804人 | 2.1倍(1.9倍) |
全体の志願者数は、2018年度より11,752人、11.2%の大幅増となり、ここ3年連続の大幅増となった。合格者数は小幅の増加にとどまり、平均倍率は前年1.9倍→2.1倍とやや上昇している。
学部統計別にみると、志願増となった分野は、人文科学、社会科学、教育・教員養成、理工学、農・水産・獣医、保健・医療、生活科学、芸術、スポーツの9分野すべてにわたっている。平均倍率でみると、特に保健・医療系は人気が高く、倍率も2.9倍と全系統の中で抜きん出ている。次いで、スポーツ・体育(健康)系の2.1倍が目立つ。農・水産・獣医系は合格者を絞り込む傾向があり、そのため倍率も高めで推移していたが、ここ数年では逆の傾向になっている。なお、理工学系の志願者数が6千人台を回復したことも注目され、2019は総体的にAO入試の文系人気が際立った。
正確なAO入試の統計は、例年、秋ごろ公表される文部科学省の発表を待たねばならないが、本年鑑の統計と大きな差異はなく、私立大AO入試の人気が高いことには引き続き留意すべきだろう。
◆私立大:2019AO入試の地区別志願動向
私立大のAO入試戦線は、地区によって差異が大きいので十分注意する必要がある。弊社が集計した地区別の2019AO入試結果は次のとおりとなっている(カッコ内は前年度比の増減を示す)。
地区 | 志願者数 | 合格者数 | 平均倍率 |
---|---|---|---|
北海道・東北 | 5,138人(+239人) | 3,631人(-9人) | 1.4倍(1.3倍) |
関東 | 73,472人(+8,903人) | 31,630人(+1,525人) | 2.3倍(2.1倍) |
中部 | 9,905人(-123人) | 6,063人(-120人) | 1.6倍(1.6倍) |
近畿 | 19,469人(+2,306人) | 9,078人(+315人) | 2.1倍(2.0倍) |
中国・四国 | 4,274人(+375人) | 2,736人(+181人) | 1.6倍(1.5倍) |
九州 | 4,809人(+52人) | 2,666人(-468人) | 1.8倍(1.5倍) |
全般的にみて地方圏の私立大では、入試区分ごとのデータ公表状況が芳しくないという事情はあるが、全体の動向は弊社の統計でも明白に表れてくる。2019年度の場合、中部地区を除いて多くの地区で志願増となり、とりわけ関東地区の2年連続の激増、次いで近畿地区の大幅増が目立つ。また、例年と同様に志願者数では関東地区が群を抜いて多く、全AO志願者数の62.8%(前年61.3%)を占めている。
一方、合格者では北海道・東北、中部、九州の3地区では合格者を絞り込む傾向が見られた。
また、関東と近畿を比較すると、推薦入試が「東低西高」型であるのに対して、AO入試では完全に「東高西低」型の入試構図になっていることも見て取れよう。これは、関東地区が推薦入試ではきびしい成績基準を設けるのに対して、AO入試ではほぼ基準設定がないことによっている。
推薦入試情報
◆私立大:2019公募推薦入試の学部別志願動向(弊社集計)
弊社では全国版「推薦入学年鑑」の発刊以来、私立大の公募推薦入試の動向を把握するため、多角的な統計作業を毎年実施している。今回は、まず2019入試結果のまとめからレポートしておきたい(データ公表校を集計、一部は指定校制データを含む)。学部系統別の志願・合格状況は、次のとおりであった。
系統 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率(前年度) |
---|---|---|---|
人文科学 | 59,272人 | 20,599人 | 2.9倍(2.5倍) |
社会科学 | 139,242人 | 39,700人 | 3.5倍(2.8倍) |
教育(教員養成) | 19,419人 | 8,542人 | 2.3倍(2.2倍) |
理工 | 37,774人 | 13,343人 | 2.8倍(2.5倍) |
農・水産・獣医 | 7,656人 | 2,916人 | 2.6倍(2.7倍) |
保健・医療 | 46,722人 | 18,739人 | 2.5倍(2.6倍) |
生活(栄養) | 13,478人 | 6,062人 | 2.2倍(2.3倍) |
芸術 | 6,683人 | 3,254人 | 2.1倍(1.8倍) |
スポーツ・体育(健康) | 10,621人 | 6,081人 | 1.7倍(1.8倍) |
(計) | 340,867人 | 119,236人 | 2.9倍(2.5倍) |
推薦入試戦線は、2013年度以降は一貫して志願増が続いてきた。そして2019年度には実に約4万2千人(14.2%)もの志願増となったことが特筆される。つまり、推薦戦線はここ7年連続で増加しているうえ、特に大学入試改変を目前に控えて異常な反応を呈しているわけである。ここ7年では特に人文科学系、社会科学系の文系の増加が際立ち、教育系、保健・医療系ではやや慎重な出願傾向がうかがえる。全体の平均倍率も2.1倍→2.2倍→2.3倍→2.4倍→2.4倍→2.5倍→2.9倍とかなりきびしくなっているので、十分注意する必要がある。学部系統別の平均倍率では、保健・医療系が合格者の増加でやや倍率がダウン。社会科学系の倍率は3.5倍とかつてない高倍率を記録した。
◆私立大:2019公募推薦入試の地区別志願動向(弊社集計)
弊社で独自に集計した2019公募推薦入試の地区別志願状況についてご紹介する(データ公表校を集計、一部は指定校制を含む)。
地区 | 2019年度 | 2018年度 | 増減数 | 増減率(前年) |
---|---|---|---|---|
北海道・東北 | 6,662人 | 6,956人 | -294人 | -4.2%(+1.5%) |
関東 | 44,245人 | 43,589人 | +665人 | +1.5%(+0.5%) |
中部 | 26,133人 | 25,134人 | +999人 | +4.0%(+3.7%) |
近畿 | 243,915人 | 203,157人 | +40,758人 | +20.1%(+6.4%) | 中国・四国 | 11,529人 | 11,477人 | +52人 | +0.5%(-1.2%) |
九州 | 8,383人 | 8,270人 | +113人 | +1.4%(+1.4%) |
(計) | 340,867人 | 298,583人 | +42,284人 | +14.2%(+4.7%) |
2012年度は中国・四国地区のみが志願増、その他の地区は全て志願減であったが、2013年度は全く逆の志願動向となり、2014年度は近畿・中四国を除く4地区で再び志願減となり、2015年度はかつてない9.4%もの大幅増となり、2019年度は14.2%もの激増となった。推薦戦線でも地区により隔年現象が生じることがあるので十分留意する必要がある。
特に注目されるのは、例年、全国志願者の5~6割が集中する近畿地区がここ5年約2万3千人、約1万人、約5千人、約1万2千人、約4万1千人の大幅増を示している点だろう。2019年度の志願増も、この近畿地区の大幅増が主要因といってよい。成績基準の厳しい関東地区が平均1.6倍なのに対して、基準撤廃・併願型の近畿地区は4.1倍(前年3.5倍)もの超激戦区となっている。
ニュースフラッシュ
◆国立大:2021年度入学者選抜の実施要項を公表
国立大学協会は、2021年度入学者選抜に関する実施要項を6月に公表しているので、その概要を簡潔にご紹介しておく。
<一般選抜に関する事項>
その他、欠員補充第2次募集等に関する事柄はほぼ従来どおりとなっている。