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AO・推薦入試エクストラ6月10日号

◆弊社調査で2017年度AO入試の実施状況が判明

AO入試情報

◆弊社調査で2017年度AO入試の実施状況が判明

現在、弊社では全国版「AO入試年鑑」を7月上旬に全国の高等学校へお届けするために作業を進めているが、6月1日時点で全ての国公私立大・短大のAO入試の実施状況調査が次のとおりまとまったのでご報告する。

<設置区分> <募集校数> <AO実施校数> <AO実施率(前年度)>
国立大 82校 53校 64.6%(57.3%)
公立大 86校 25校 29.1%(27.4%)
私立大 578校 472校 81.7%(80.6%)
公立短大 15校 5校 33.3%(31.3%)
私立短大 303校 258校 85.1%(84.0%)

国立大では、大阪大(6学部)のほか、滋賀大・香川大・熊本大が新規実施し、この1~2年でかなり増加している。公立大では宮城大が全学群で新規導入し、私立から公立へ移行する山陽小野田市立山口東京理科大が加わる。

私立大は、学生募集校が前年の581校から578校へ減少。新規実施の顔ぶれは国立音楽大、東京女子大、東京聖栄大、南山大、大和大の5校。AO廃止校もあり、AO実施校は前年より4校増だけだが、実施率は若干上昇している。

公立短大は、募集校・AO実施校とも前年どおりで、AO実施率は依然として低いままである。

私立短大は、本年度も募集停止が8校(専攻科のみ残る岩手看護短大含む)あり、学生募集校は311校から303校へ減少するが、AO実施率は過去最高の85.1%となっている。新規実施としては奈良芸術短大がある。

◆地区別:2017AO入試の地区別実施状況

弊社が調査した2017AO入試の地区別実施状況を示すと、次のとおりとなっている。

地区 国立大 公立大 私立大 公立短大 私立短大
北海道・東北    9校    8校   42校     1校    25校
関    東   12校    3校   175校     0校    77校
中    部    7校    2校   78校     1校    45校
近    畿    8校    2校   100校     1校    51校
中国・四国     8校    4校   36校     2校    26校
九    州    9校    6校   41校     0校    34校

国立大は各地区とも同程度の実施状況だが、関東地区の増加が目立つ。公立大に関しては北海道・東北地区、九州地区の実施状況が目立っている。

私立大におけるAO実施校は、やはり関東地区が175校と群を抜いて多く、次いで近畿地区、中部地区となるが、実施率で見ると中部、中国・四国の2地区が高く、逆に最も低いのは北海道・東北地区となっている。

私立短大の場合、実施率が全国平均(85.1%)を上回っているのは、関東、中国・四国、九州の3地区で、最高は九州地区の94.4%。次いで中国・四国地区89.7%、関東地区89.5%で、北海道・東北地区は69.4%と最もAO導入率が低い。

推薦入試情報

◆私立大:公募制推薦の地区別特徴

私立大の公募推薦入試の動向を形成する要因として、(1)成績基準の高低や有無、(2)専願制か併願制か、(3)選考方法(受験負担の軽重)、(4)大学の知名度、の4つがあげられる。これら4つの要因がどうからむかによって、各地区の入試動向が決定づけられるといっても過言ではない。

<北海道・東北地区、関東地区>
人気私立大の多くが3.5~4.0以上の高基準で、中堅私立群でも3.0~3.3以上の明確な基準を設けているケースが多い。専願制が主流であるため、志願者数は多いところでも千人前後の規模で、年度ごとの変動も小幅にとどまる。選考法では基礎学力試験より小論文が多いのも、受験生には心理的なブレーキとなっている。
<中部地区>
全般に成績基準が緩やかで併願制も多いが、志願者が千人を超える私立大はごく一部に限られる。その中では中京大の志願者数が群を抜く。選考方法では、基礎学力試験を課すタイプが増加傾向にある。また、年度により隔年現象がよく見られる地区なので要注意だ。
<近畿地区>
例年、公募志願者数が全国の5割強を占める最激戦地区である。それは成績基準撤廃、併願制、軽量型学科試験中心という3つの要因がそろい、なおかつ人気の高い中堅上位校群の多くが一般推薦を実施するためである。特に近畿大、龍谷大、京都産業大の3校が抜きん出ており、大学・学部・学科によっては、15~30倍もの激戦となるケースが珍しくない。
<中国・四国地区>
成績基準が全般に緩やかで併願制が主流だが、地元大学の推薦活用は低調である。知名度の高い私立大が限られ、高学力層は国公立大や他地区の有名私立大へ流れる傾向が目立つ。工学系では山口東京理科大が公立へ移行したのでその影響が注目される。
<九州地区>
この地区の主要私立大は専願制が中心で、成績基準もやや高く、全般に推薦戦線はさほど活発ではない。ほとんどが1倍台の競争率で、志願者数も少ないが、その中では福岡大の人気が群を抜く。

◆弊社調査でみる私立大の地区別志願・合格状況(2015年度)

弊社では例年、公募制昼間部(一般・ユニーク推薦)の志願者数・合格者数の調査を行っている。データ非公表や指定校制等を含むケースもあるが、公募制全体の動向を把握するための目安として実施している。2016年度の集計はまだ完了していないので、2015年度の集計結果を用いて、各地区の志願者数・合格者数をみると、下記グラフのとおりとなっている。

 

私立大の地区別・公募推薦志願者・合格者状況

 

近畿地区の公募推薦戦線は群を抜くスケールで、平均倍率も3.2倍と全国で最も高い。関東地区と近畿地区を比べると、志願動向は「東低西高型」の構図が明白に見て取れる。

ニュースフラッシュ

◆新「職業大学」が2019年春からスタート

本年5月10日、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会(中教審)は、質の高い職業人の育成を目ざして創設する高等教育機関に関する答申の素案を示した。文科省はこの答申を受け、2019年春に開設できるよう関係法改正案の国会提出の手続きに入る。

この新大学は、4年制と2~3年制の2種類で、大学の一種と位置づけられる。注目すべきは、4年制は「学士」、2~3年生制は「短期大学士」の「学位」が得られること。名称は「専門職業大学」「専門職大学」の2例を素案では示している。

教育内容では、卒業に必要な単位の3~4割以上を実習や演習科目とし、専任教員の4割程度以上を実際に各分野で働く実務家・技術者とするよう義務づける。素案では育成する高度職業人として、(1)アイデアの提案も行うプログラマー、(2)観光分野でサービス向上の先導役となる接客のプロ、(3)農産物の加工品開発も手がける生産者などを挙げている。

ともかく、この新大学の最大の特徴は、実習を重視する点だろう。企業内実習などは、2年制は通算200時間程度、4年制は600時間程度以上学ぶよう義務づけ、社会人など多様な学生を受け入れることも努力義務とする。

「学位」を取得できるという観点からすれば、現行の大学・短大と同列と見ることができるが、それではAO・推薦・一般入試に関する文科省の実施要項を適用するのかどうか、まだ詳細は不明だが、適用する可能性は高いと考えられる。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆AO入試(3):国公私立大・短大別出願要件の概要と特徴

本年度は大学入学者選抜実施要項の改訂から7年目となり、そのガイドラインは年ごとに広く浸透している。AO入試における出願要件の設定状況は、国立・公立・私立ごとかなり差異があり、それぞれの概要と特徴を十分ふまえて、生徒の指導に臨む必要がある。

■国立大
推薦入試と比べると、全般的には成績基準の設定は少ない。設定しているケースでは、ほぼ推薦入試と同レベルかやや低いと考えてよい。センター試験を課すか否かによっても違いがあり、センター試験を用いるAO入試では成績基準を設けないのが一般的だ。近年はセ試併用型の増加が目立つほか、外部の外国語検定を利用する大学が増えているので注意したい。
そして、国立大のAO入試では、アドミッションポリシーと「求める学生像」を厳密に設定しているのが特徴で、これに沿って出願希望者のマッチングを綿密に検証することが大切だ。
■公立大
公立大におけるAO入試は、推薦入試と比べると全国型を主流としている。成績基準の設定は全般に少なく、設定校でもさほど高くはない。ただし、一部の公立大では出願要件に各種の取得資格を組み入れているので注意する必要がある。
■私立大
近年の私立大AO入試では、アドミッションポリシーや「求める学生像」を明示する傾向が定着しつつあるので、十分留意してほしい。これが、出願要件の中核をなすことは言うまでもなく、特に上位私立大では重視される。
弊社の2016年度調査で、AO入試に成績基準を必須条件として設けた私立大は76校で、全体の14.6%と少ない。出願要件に教科の評定平均値を明示する方向が打ち出されてはいるが、私立大では新規設定の動きは小さい。
一方、取得資格・活動実績を必須条件として出願要件に組み込んだ私立大は、112校(18.7%)と多い。複数条件の1つとしているのは98校(16.4%)で、両方を合せると35.1%となる。
■公立短大
AO実施5校のうち、成績基準の設定は2校、取得資格の設定も1校という状況で、出願要件はきびしくない。ただ、「求める学生像」へのマッチング度は十分検討する必要がある。
■私立短大
全般に私立短大におけるAO入試の出願要件は、きわめて緩やかと考えてよい。2016年度の弊社調査では、成績基準を必須条件としたのは22校(8.3%)とわずか。取得資格・活動実績に関しては、必須条件が15校(5.7%)、複数条件の1つが27校(10.2%)で、両方合わせても15.9%。4大と比べるとずっと少ない。

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