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AO・推薦入試エクストラ4月11日号

AO入試対策:生徒指導スタートのポイント

AO入試情報

~AO入試対策:生徒指導スタートのポイント~

新年度のスタートに当たって、AO入試対策上、基本的な指導ポイントを確認しておこう。まず、言うまでもないことだが、大学の主要入試はAO・推薦・一般の3区分に分かれる。AOのみや推薦のみで受験態勢を組むことは危険で、あくまでも3区分を通して年間の受験戦略を立てること、つまり、最終的には一般入試のための学習対策を貫く姿勢が大切であることを十分生徒に周知しておくことが肝心だ。

その上で、AO入試を活用させる際のポイントとしては次のような事柄があげられよう。

  • (1)第1志望校が明確なこと。AO入試の多くは専願制で実施される。入学して悔いのない大学・短大であることが、生徒の将来にとって不可欠である。
  • (2)個性豊かな学習・課外活動に取り組んでいる生徒に向く。多様な生徒の中には、いわゆる受験のための勉強にはさほど集中できないが、ユニークな自主学習や課外活動には情熱を注ぐ者も多い。そうした若者にとって、AO入試は最適の受験ルートであろう。
  • (3)大学でやりたいことが明確であること。AO入試では大学入学の目的や計画、将来へのヴィジョンが問われる。早い段階で将来を含めた進路計画ができている生徒に向く。
  • (4)AO入試の選考法は多彩で、生徒に向くパターンの選択に注意させること。面談・面接、課題レポート、小論文、集団討論、スクーリングなど様々な選考法に留意させたい。

◆私立大ではAO・推薦・一般の3段階型入試が定着

AO入試はこの10数年で特に私立大・短大で急速に拡大してきた。その結果、AO入学者が全入学者に占める比率はもはや無視できない水準に達している。2010年度の時点で、その状況は次のようになっている(文科省資料)

私立大学・私立短期大学入学者入試区分(AO)

(注)国立大は2.6%、公立大は2.3%、公立短大は2.1%

 

2011・2012年度にはさらに上昇すると予測され、今日では多くの私立大・短大で日程的にAO・推薦・一般の3段階型入試が定着しつつある。

日程については、AOが8月1日以降、推薦が11月1日以降、一般が2月1日以降の出願開始となる。ただ、AO入試では6月~7月からの早期のエントリー型も依然として残るが、主要私立大の出願は8月~9月、選考は9月~10月に集中する。募集回数でみると、1回型と複数回型に分かれ、中堅私立大・短大では複数回型が多い。

AO入試独自の選考パターンとしては、対話型、体験入学・ゼミ参加型があるほか、書類+面接型、2段階型(1次=書類、2次=面接・小論文等)など多彩な選考パターンに分かれる。また、どのパターンであっても、受験生が作成して提出する書類の内容的な質と完成度がきわめて重要になる点にも留意する必要がある。

推薦入試情報

~推薦入試対策:生徒指導スタートのポイント~

新年度のスタートに当たって、推薦入試対策上、基本的な指導ポイントを確認しておこう。国公私大を問わず、推薦入試は実施校が多く、しかもその入学者比率が高い。従って、AO入試はともかく、多くの生徒に対して推薦・一般の2段構えで受験態勢を組ませることが不可欠になるが、最終的には一般入試のための学習対策を貫く姿勢が大切であることを十分生徒に周知しておきたい。

その上で、推薦入試を活用させる際のポイントとしては、次のような事柄が挙げられよう。

(1)専願制・併願制の2タイプがあること。当然ながら、専願制のケースは第1志望であることが望ましく、入学して悔いのない大学・短大であることが、生徒の将来にとってきわめて重要になる。併願制のケースは、中部・近畿・中四国の私立大・短大に集中している。

(2)一般推薦・ユニーク推薦の2タイプがあること。一般推薦ではやはり一定程度以上の成績水準が必要になるので、前期の校内テストにベストを尽くすよう指導しておきたい。ただし学力試験を主要な選考法とするケース(特に近畿地区の私立大)は、成績基準を設けないのが一般的だ。それに対して、ユニーク推薦は、自主的な特別・課外・社会活動や各種の検定資格取得等の実績を持つ者に向く。推薦入試が多様な個性を受け入れる入試ルートであることを周知しておきたい。

(3)主要な選考法は、調査書プラス面接(口頭試問含む)、小論文、学力試験の3タイプ。志望校の選考法を見据えた対策が不可欠であることを周知徹底しておく必要がある。

◆推薦入学者比率は私立大40.9%、私立短大62.8%

今日では推薦入試は国公私大を問わず、大学入試の主柱として機能している。高校側が生徒の能力・資質・特性等を検討して、大学教育への接続を考慮に入れる点も、この入試制度の特質と言える。2010年度の文科省資料で推薦入学者が全入学者数に占める比率をみると次のようになっている。

大学・短期大学入学者入試区分(推薦)

 

国立大における比率は一見小さく思えるが、定員数の多い旧帝大系や一橋大・東京工大・広島大など大手総合大の大半の学部が推薦入試を実施しないので、それを除くと入学者比率は3割を超えるはず。一般選抜がほぼワンチャンス化している現状では、推薦入試は国公立攻略の貴重な受験ルートといえよう。

一方、私立大・短大においては、その入学者比率からみて、推薦入試はチャレンジ必須のステップであることが分かるはずである。私立大の場合、指定校制による入学者数も相当数にのぼるものの、公募制は重要な入試ルートである。ただ、一般推薦の実施は難関校では少なく、中堅私大群が中心になり、ユニーク推薦は難関・上位群を含めて幅広く実施されていることに留意してほしい。

ニュースフラッシュ

~公立大学協会が東日本大震災への支援状況を公表~

全国80の公立大学を会員とする公立大学協会(会長=矢田俊文北九州市立大学長)は、このほど東日本大震災への支援状況を取りまとめHPで公表した。

震災直後から医学・看護系の公立大から災害医療派遣チーム(DMAT)による被災地支援が開始されたのをはじめ、様々な形で支援が行われている。公立大学協会のHPでは、各大学の支援状況を(1)医療に関する支援、(2)その他の支援、(3)募金活動、(4)学生に関する支援、(5)入試における対応、(6)対応状況を公表しているWeb、(7)担当者/電話番号/メールアドレスの7項目に分けてアップデートされているので参照されたい。

被災学生に関する支援では、入学金・授業料の減免、緊急枠奨学金(日本学生支援機構)支給までの支援、短期生活資金の貸付、学生寮の優先入寮などの措置を取る大学が多い。入試における対応では、被災受験生に対して、後期日程の延期、追試験の実施、入学手続期間の延長などの措置を取った大学が多い。

◆弊社の独自調査結果も5月ごろから順次アップ

東日本大震災に関連する大学の動向は、弊社でも独自のアンケート調査を実施し、6月ごろから順次弊社のサイトにアップしていく予定です。

◆東日本大震災で入学式の中止・延期が130校

公立大のほか国立・私立大でも、様々な形で被災した受験生・学生への支援内容を決めた。その一部を紹介すると、法政大では被災学生を対象に減免等の支援内容を決めた。入学予定者に対してはすべて入学金を免除する。上智大では入学予定者を対象に家屋の被災状況を基準とした入学金と授業料等の免除を定めた。このように全国の大学で被災地への支援は広がっている。

また、文部科学省の調査によると、東日本大震災の影響で、新年度の入学式を中止または延期する大学が、東北・関東地方の国公私立446校(短大含む)のうち、すくなくとも130校にのぼる。被災地では校舎損壊のため講義の開始が遅れる大学も多く、同省は3月29日までに授業時間を定めた大学設置基準を新年度に限り、弾力的な運用を認める旨を通知した。

東北地方では77校のうち約50校が入学式の中止・延期を決定し、岩手・宮城・福島の3県では、少なくとも計25校(一部の学部を含む)で授業開始が遅れる見込みだ。

関東地方でも、計画停電や余震の影響で、入学式の中止・延期に踏み切る大学が続出し、369校のうち約80校にのぼっている。

授業の開始延期で大きな問題となるのが授業時間の確保。開始が遅れれば当然夏休みの時期に食い込むこととなり、さらに就活にも影響が出てくる可能性もある。文科省では、前期の授業時間確保が困難な場合は、レポートやWEBによる授業などを採り入れた対応も可能とする事務連絡を各大学へ向け通知している。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

~AO入試1:入試制度の概要と現状~

大学進学率の上昇と高等教育のユニバーサル化に対応して、大学入学者選抜の多様化を促進するため、1997年、中央教育審議会が初めてAO入試の導入と拡大を提言したのを受けて、文科省は正式に入試制度として確立した。翌1998年度から同志社大、99年度から桜美林大、立命館大など、翌2000年度からは全国の国立・私立大が続々と導入し始め、2011年度の実施状況は次のようになっている(弊社調査)。

1.国公立大=82校中47校(57.3%)、2.公立大=79校中21校(26.6%)、3.私立大=569校中462校(81.2%)
4.公立短大=18校中4校(22.2%)、5.私立短大=337校中267校(79.2%)

公立大・短大での実施率は低く、入試スタッフに余裕がないことが大きな要因とみられる。国立大では後期日程の廃止と連動してAO入試の導入がやや進んだが、まだ実施学部・学科数が推薦入試と比べると格段に少なく、受入定員数も小さい。それに対して、私立大・短大ではこの10年余で急速に拡大し、その多くでAO・推薦・一般の3段階型日程が定着しつつある。

中央教育審議会は、当初、AO入試の基本として次の5点を挙げている。

  • (1)受験生が自らの意志で出願できる公募型の入試であること。
  • (2)求める学生像や、受験生に求める能力・適性等を明確にし、それに応じた選抜法を工夫・開発すること。
  • (3)受験生の能力、適性、意欲、関心等を多面的、総合的に評価すること。
  • (4)高校側との相互コミュニケーションを重視するものであること。
  • (5)専門的な(入試)スタッフの充実等、十分な態勢を整備すること。

これらのガイドラインに沿って、高校教育と大学教育のスムーズな教育的接続を主眼として、この10年余、AO入試は次第に成熟化への道を辿ってきた。

その反面、入試日程に一定の歯止めがなかったことから、5~6月からスタートするAO入試も多く、「青田買い」「学力不問入試」などの批判も絶えなかった。折しも、学士力の向上が高等教育の重要な課題として議論され始め、文科省は「大学入学者選抜実施要項」を2010年度に改訂し、2011年度から全大学に義務づけ、AO入試は新しい段階へ移ることになった。

その重要な変更点は、次の4点になる。

  • (1)大学入学者選抜の基本方針では、「学力の要素を適切に把握」するよう転換を図った。
  • (2)入学者受入方針の明確化と、高校で履修すべき科目や取得が望ましい資格等をできる限り明示するよう求めた。
  • (3)AO入試で初めて「8月1日以降」と願書受付始期が設定された。
  • (4)AO入試における学力把握措置として、(ア)各大学が実施する検査(筆記、実技、面接等)、(イ)大学入試センター試験の成績、(ウ)資格・検定試験などの成績等、(エ)高等学校の教科の評定平均値、のいずれかを出願要件や合否判定に用いることとし、(ア)~(ウ)を行う場合には(エ)を積極的に活用することとした。

改訂2年目となる2012年度入試では、上記の方針がより多くの大学へ浸透するのは確実で、AO入試の指導に関して十分留意すべきだろう。

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