AO・推薦入試エクストラ6月10日号
弊社調査で2020年度AO入試の実施状況が判明
AO入試情報
現在、弊社では全国版「AO入試年鑑」を7月上旬に全国の高等学校へお届けするために作業を進めているが、5月23日時点で全ての国公私立大・短大のAO入試の実施状況調査が次のとおりまとまったのでご報告する。
<設置区分> | <募集校数> | <AO実施校数> | <AO実施率(前年度)> |
---|---|---|---|
国立大 | 82校 | 58校 | 70.7%(69.5%) |
公立大 | 91校 | 32校 | 35.2%(32.2%) |
私立大 | 583校 | 496校 | 85.1%(82.5%) |
公立短大 | 13校 | 5校 | 38.5%(30.8%) |
私立短大 | 290校 | 262校 | 90.3%(89.2%) |
国立大では、2017・18年度の2年間でかなり増加したが、2019年度には九州工業大1校のみだったが、全体の実施率は7割近くまで上昇、2020年度には新潟大(工)が加わり、この4年ほどでかなり増加して、実施率はついに7割を超えている。公立大では新潟県立大、神戸市外語大の2校が加わる。
私立大は、学生募集校が前年の582校から584校へ増加。新規実施の顔ぶれをみると、日本医科大、名城大、大阪医科大や自己推薦から移行する青山学院大などを含め、AO実施校は前年より15校増加し、実施率もかなり上昇している。
公立短大は、募集校数は同じで、AO実施校は静岡県立大短大部が加わり、AO実施率は4割近くに上昇している。
私立短大は、本年度も募集停止が多く、学生募集校は296校から291校へ減少するが、新規実施校が4校あり、AO実施率は過去最高の90.0%となっている。新規実施としては八戸学院大短大部、白梅学園短大、浜松学院大短大部、藍野大短大部などがある。
◆地区別:2020AO入試の地区別実施状況
弊社が調査した2020AO入試の地区別実施状況を示すと、次のとおりとなっている。
<地区> | 国立大 | 公立大 | 私立大 | 公立短大 | 私立短大 |
---|---|---|---|---|---|
北海道・東北 | 9校 | 9校 | 43校 | 1校 | 30校 |
関東 | 13校 | 4校 | 187校 | 0校 | 77校 |
中部 | 9校 | 5校 | 81校 | 2校 | 48校 |
近畿 | 8校 | 4校 | 105校 | 1校 | 49校 |
中国・四国 | 9校 | 4校 | 36校 | 1校 | 24校 |
九州 | 10校 | 6校 | 44校 | 0校 | 34校 |
国立大は各地区とも同程度の実施状況だが、関東地区の実施校数が最も多い。公立大に関しては北海道・東北地区、中部地区、九州地区の実施状況が目立っている。
私立大におけるAO実施校は、やはり関東地区が187校と群を抜いて多く、次いで近畿、中部となるが、実施率で見ると中部(88.2%)、関東(87.4%)の2地区が高く、逆に最も低いのは北海道・東北地区の75.4%となっている。
私立短大の場合、実施率が全国平均(90.3%)を上回っているのは、関東、中部、九州で、最高は関東地区の95.1%。次いで九州地区94.4%で、北海道・東北地区は81.1%と最もAO導入率が低い。
推薦入試情報
◆私立大:公募制推薦入試の地区別特徴を形成する4大要因
私立大の公募推薦入試の動向を形成する要因として、(1)成績基準の高低や有無、(2)専願制か併願制か、(3)選考方法(受験負担の軽重)、(4)大学の知名度、の4つがあげられる。これら4つの要因がどうからむかによって、各地区の入試動向が決定づけられるといっても過言ではない。
- <北海道・東北地区、関東地区>
- 人気私立大の多くが3.5~4.0以上の高基準で、中堅私立群でも3.0~3.3以上の明確な基準を設けているケースが多い。専願制が主流であるため、志願者数は多いところでも千人前後の規模で、年度ごとの変動も小幅にとどまる。選考法では基礎学力試験より小論文が多いのも、受験生には心理的なブレーキとなっている。
- <中部地区>
- 全般に成績基準が緩やかで併願制も多いが、志願者が千人を超える私立大はごく一部に限られる。その中では中京大の志願者数が群を抜く。選考方法では、基礎学力試験を課すタイプが増加傾向にある。また、年度により隔年現象がよく見られる地区なので要注意だ。
- <近畿地区>
- 例年、公募志願者数が全国の5割強を占める最激戦地区である。それは成績基準撤廃、併願制、軽量型学科試験中心(プレ一般型)という3つの要因がそろい、なおかつ人気の高い中堅上位校群の多くが一般推薦を実施するためである。特に近畿大、龍谷大、京都産業大の3校が抜きん出ており、大学・学部・学科によっては、15~30倍もの激戦となるケースが珍しくない。
- <中国・四国地区>
- 成績基準が全般に緩やかで併願制が主流だが、地元大学の推薦活用は低調である。知名度の高い私立大が限られ、高学力層は国公立大や他地区の有名私立大へ流れる傾向が目立つ。
- <九州地区>
- この地区の主要私立大は専願制が中心で、成績基準もやや高く、全般に推薦戦線はさほど活発ではない。ほとんどが1倍台の競争率で、志願者数も少ないが、その中では福岡大の人気が群を抜く。
◆弊社調査でみる私立大の地区別志願・合格状況(2018年度)
弊社では例年、公募制昼間部(一般・ユニーク推薦)の志願者数・合格者数の調査を行っている。データ非公表や指定校制等を含むケースもあるが、公募制全体の動向を把握するための目安として実施している。2019年度の集計はまだ完了していないので、2018年度の集計結果を用いて、各地区の志願者数・合格者数をみると、下記グラフのとおりとなっている。
近畿地区の公募推薦戦線は群を抜くスケールで、平均倍率も3.5倍と全国で最も高い。関東地区と近畿地区を比べると、志願動向は「東低西高型」の構図が明白に見て取れる。
ニュースフラッシュ
◆2018(平成30)年度大学入学者選抜実施状況の概要(2)推薦入試
文科省は2018年度の国公私立大・短大の推薦選抜実施状況のまとめを公表した。入試全体としては国立大が志願減、公・私立大が志願増という状況の中で、推薦入試の概要を紹介する。
- <国立大>
- 実施大学・学部数は78校289学部。実施校数は前年度と同じだが、4学部の増加となった。大学数としては全体の95.1%、学部数では72.4%が実施した。志願者数は572人(1.8%)減の31,163人とやや減少。合格者数は13人減の11,979人で、平均倍率は2.6倍で前年と同じ。入学者数は4人減の11,949人で、全体に占める割合は12.2%で変化はない。
- <公立大>
- 実施大学・学部数は新設校が3校あり、87校187学部となり、3校15学部増加。志願者数は前年より386人(2.0%)増えて19,319人となり、4年連続で最高記録を更新し続けている。合格者数は341人(4.4%)増の8,021人で、平均倍率は2.4倍となり、前年の2.5倍を若干下回った。入学者数は344人増の8,008人で、全体に占める割合は前年の24.4%から24.6%へ上昇している。
- <私立大>
- 実施大学・学部数は、前年より若干増えて582校1,769学部となった(指定校制を含む)。大学数では全体の99.7%、学部数では99.1%が実施した。志願者数は前年より9,373人(2.2%)増の430,538人。推薦戦線の活発化ぶりが際立った。合格者数は2,570人減の244,236人で、合格者の絞り込みが際立った。平均倍率は1.7倍→1.8倍へアップ。注目されるのは入学者数がやや増加し、198,057人となり、入学手続き率も79.9%→81.1%と上昇している。この結果、推薦入学者比率は前年の40.5%から41.0%へ上昇している。
- <公立短大>
- 実施大学・学科数は14校36学科。志願者数はやや減って1,628人で、合格者数も若干減少して1,184人。平均倍率は1.4倍で前年並み。入学者数は1,162人で、全入学者の43.3%となり、前年の42.3%から若干上昇している。
- <私立短大>
- 実施大学・学科数は301校560学科で、前年より3校5学科の減少。大学数・学科数ともほぼ100%の実施率である点は変わっていない。志願者数は前年より3,327人(8.7%)減の34,725人で、ついに3万5千人の大台を割り込んでいる。合格者数も2,900人の大幅減で31,194人。平均倍率はここ数年1.1倍で推移している。入学者数は2,694人減の29,291人とついに3万人台を下回った。入学者比率はここ3年で61.9%→60.6%→58.3%へ低下した。