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総合型・推薦型選抜エクストラ9月25日号

私立大:2026総合型選抜の全国統計レポート(2)

総合型選抜情報

◆私立大:2026総合型選抜の全国統計レポート(2)

私立大2026総合型選抜における専願区分、成績基準、資格・活動実績基準に関する弊社の統計レポートをお届けする(比率は少数第2位を四捨五入)。

<専願区分> (大学数) (比率)
専願制 459校 61.7%
併願制 221校 29.7%
専・併 53校 7.1%
定めず 11校 1.5%

総合型選抜では全体の約7割は専願制で実施され、併願制は29.7(前年度27.9)%と、ここ数年で併願制の割合はかなり増加している。その要因の1つとして、基礎学力テスト型の増加があげられるのではないかと考える。総合型では、これだけ多くの大学が併願制で実施しているので、受験生には併願制を上手く活用させてもらいたい。

<成績基準> (大学数) (比率)
設定なし 503校 74.3%
複数条件の1つ 31校 4.6%
必須条件 143校 21.1%

学校推薦型選抜との大きな相違点の1つが、成績基準の設定がきわめて少ないことだろう。必須条件としているのは全体の21.1%(前年21.7%)で、約8割は成績基準を設けておらず、多くの志願者が流れ込む最大要因となっている。

<資格・活動実績> (大学数) (比率)
設定なし 501校 64.8%
複数条件の1つ 77校 10.0%
必須条件 195校 25.2%

成績基準と異なり、取得資格や活動実績を設定する割合は、複数条件の1つと必須条件を合わせて35.2%と全体の4割近くを占め、増加傾向にある。逆の見方をすれば、資格や活動実績を持つ生徒には、総合型選抜は現役合格へのパイプとなりうる入試であると言えよう。ただし、上位私立大群では総合型枠がさほど大きくなく、出願要件と合格可能性を慎重に検討する必要がある。

◆私立大:地区別2026出願条件の設定状況

ここでは2026総合型選抜の出願条件に関する地区別の弊社統計をご紹介する。各地区の特徴を十分把握しておいてほしい。

<専願区分>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
専願制
42校 145校 83校 98校 41校 50校
併願制
11校 113校 37校 39校 9校 12校
専・併
1校 15校 10校 23校 3校 1校
定めず
2校 4校 1校 3校 0校 1校

学校推薦型選抜では併願制が主流の中部・近畿・中四国地区においても、総合型選抜は専願制が主流なので要注意。一方、関東地区の学校推薦型選抜は専願制が主流だが、総合型選抜では併願制が全体の40.8%(前年36.0%)となっており、関東地区の併願制実施率は志願者数に比例する形でどの地区よりも群を抜いて高い割合となっている。

<成績基準>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
設定なし
49校 181校 83校 104校 39校 47校
複数条件の1つ
1校 11校 3校 10校 2校 4校
必須条件
9校 50校 25校 34校 11校 14校

成績基準を必須条件としているケースは、かつては近畿地区が最も多かったが、近年は関東地区が50校で最多となっている。ただ、ここ数年では学校推薦型選抜もそうだが、成績基準の設定をさげたり、廃止しているケースも見受けられ、成績基準の軟化がみられる。また、一部の有名私大を除き、全般的に総合型選抜の基準は緩やかである。

<資格・活動実績>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
設定なし
51校 177校 81校 107校 41校 44校
複数条件の1つ
4校 30校 8校 18校 2校 15校
必須条件
11校 74校 30校 51校 14校 15校

必須条件としての設定率が最も高いのは近畿地区で28.9%、次いで関東地区の26.3%、中部地区の25.2%の順となっており、大都市圏ほど資格・活動実績を必要とする入試を実施している状況となっている。

学校推薦型選抜情報

◆国公立大:2025学校推薦型選抜の学部系統別志願動向(統計レポート2)

前号では私立大の志願動向を紹介したが、今号では国公立大の学部系統別志願動向の調査統計もまとめているのでレポートしておきたい。

<国立大>
国立大の学部系統別志願動向は次のとおりであった。
学部統計 志願者数 合格者数 競争率(前年度)
人文科学
1,503人 535人 2.8倍(2.7倍)
社会科学
5,659人 2,340人 2.4倍(2.2倍)
教育・教員養成
6,139人 2,473人 2.5倍(2.5倍)
理学
1,384人 610人 2.3倍(2.1倍)
工学
6,722人 3,057人 2.2倍(2.3倍)
農・水産・獣医
2,445人 959人 2.5倍(2.4倍)
保健・医療
6,297人 2,061人 3.1倍(3.0倍)
生活科学(栄養)
176人 55人 3.2倍(4.0倍)
芸術
335人 95人 3.5倍(3.2倍)
体育・スポーツ
292人 180人 1.6倍(1.7倍)
(計)
30,952人 12,365人 2.5倍(2.4倍)

国立大は全て公募制で入試結果の非公表校もないので、弊社集計と来年3月に公表される文科省統計の誤差も小さいとみられる。まず全体的に志願者数の上位をみると、工学系、保健・医療系、教育・教員養成系の3分野が6千人以上でベスト3を占める。次いで社会科学系の5,659人、農・水産系の2,445人が続いている。理系(理・工・農・保健)の志願者数は約1万7千人で、全体の54.4%を占める。工学系が第1位になっていることは、女子枠を多くの大学が設置していることもあり、志願者数の増加に繋がっているのではないかと推測している。

一方、合格者でみると、工学系、教育・教員養成、社会科学系、保健・医療系の順に多い。最も合格者数が少ないのは生活科学系でわずか55人にとどまっている。

競争率では芸術系3.5倍が最も高く、次いで生活科学系の3.2倍、保健・医療系3.1倍、人文科学系2.8倍の順となっている。社会科学系、理・工学系はやや倍率が低く、学校推薦型選抜活用の余地がまだ大きいと言ってよい。

◆公立大:2025学部系統別志願動向

ここでは公立大の2025学校推薦型選抜の志願動向をレポートする。衆知のとおり、公立大は一部で指定校制を実施しており、全体の数値は弊社統計と文科省統計では若干差異が生じることをおことわりしておく。公立大の2025学校推薦型選抜結果の集計状況は以下のとおり。

<公立大>
学部統計 志願者数 合格者数 競争率(前年度)
人文科学
2,134人 780人 2.7倍(2.5倍)
社会科学
6,372人 3,067人 2.1倍(2.0倍)
教育・教員養成
567人 258人 2.2倍(2.4倍)
理学
454人 180人 2.5倍(2.3倍)
工学
2,230人 1.128人 2.0倍(1.9倍)
農・水産・獣医
559人 254人 2.2倍(2.0倍)
保健・医療
7,107人 2,544人 2.8倍(2.7倍)
生活科学(栄養)
879人 281人 3.1倍(3.1倍)
芸術
731人 260人 2.8倍(3.0倍)
体育・スポーツ
236人 96人 2.5倍(2.0倍)
(計)
21,269人 8,848人 2.4倍(2.3倍)

公立大における推薦実施学部数は、保健・医療系と社会科学系の2分野が群を抜いて多いのが特徴だが、志願者数も保健・医療系7,107人、社会科学系6,372人とこの2分野が群を抜いて多い。また、人文・社会科学系を合わせた文系2分野の志願者数は国立大を上回っている。

合格者数をみると、社会科学系、保健・医療系の2分野が突出しており、最も少ないのは体育・スポーツ系の96人となっている。

競争率をみると、生活科学系の3.1倍(前年3.1倍)が最も高く、次いで保健・医療系と芸術系が2.8倍、人文科学系の2.7倍の順となっている。

公立大では地元枠・全国枠の2区分で実施されていることが多いが、地元枠よりも全国枠の方が倍率は高くなる傾向があるので留意したい。

ニュースフラッシュ

◆文科省が全国の私立大学に入学金返還などの負担軽減策を求める

本年6月、文科省は全国の私立大学に入学金の納入について、返還や負担軽減を行うことを求めた通知を出した。これまでの入学金の位置付けとしては、「入学する地位の対価」としていたことにより、返還はほとんど認められていなかった。今回の文科省の要請により、全国の私立大としては、全く対応しないという訳にはいかなくなってくるのではないかと考えられる。

そういったなかで、桃山学院大は8月11日、来年の入試を対象に、合格者が2026年3月12日までに入学辞退をした場合、理由を問うことはせず、事前に納付した入学金23万円のうち、8割の18万円を返還すると発表した。このほかにも、数校の大学が入学金の返還に対応することを発表している。

ただ、発表している大学を見ても、色々と条件を付している場合もあるので、無条件で入学金の返還に応じていくかどうかについては、今後の動向を注視していく必要があるだろう。

大学側としても入学金の返還には、手間やコストもかかるのは事実である。特に、大きな大学になれば、全ての入試を対象とするとなると莫大な時間がかかるのは間違いない。だからといって、このまま入学金問題をスルーするということは、大学にとっても得策ではないはずだ。時間はかかるかもしれないが、これから多くの大学が何らかの対応をしてくることは間違いないと考えるので、受験する大学のHPなどはしっかりとチェックしてもらいたい。

当然ながら、一般選抜だけではなく、総合型・学校推薦型においても併願制で実施している大学・学部は多く存在している。専願制での入学金返還は論外(特段の理由があれば別)だが、併願制に関しては、一般選抜同様、入学金返還の対象となってくることは間違いないだろう。

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