1. エイビ進学ナビTOP
  2. AO・推薦入試エクストラ(エイビ教育ニュースフラッシュ)
  3. >10月10日号

AO・推薦入試エクストラ10月10日号

国公立大のセ試併用型はラスト3か月の学力強化がカギ

AO入試情報

国公立大のセ試併用型はラスト3か月の学力強化がカギ

文科省の27年度大学入学者選抜の概要によると、AO入試でセンター試験(セ試)を課すのは、国立大が25校63学部、公立大が6校7学部となっている。国立大では実施学部の45.3%がセ試併用型で実施する。

言うまでもなく、セ試の用い方は次の3パターンに分かれる。

  • (1)最終合否で一定得点以上を合格対象とする
  • (2)書類・面接・小論文等との総合点で合否を決定
  • (3)セ試で一定得点以上に2次選抜を実施

国立大では(1)(3)の用い方も相当数にのぼるので、セ試併用型ではセ試得点力が志望校の合格水準に達するかどうかが出願の分岐点になる。一般的に医学系では80%以上(北海道大医は90%)と基準が高いが、薬学系は70~75%程度(一部に80%)、その他では60~65%前後の設定が多いが、できるだけ高得点を取るのが望ましいことは無論である。

そこで、面接・小論文対策と併行して、ラスト3か月はセ試対策にベストを尽くす必要があることを生徒には十分周知徹底し、助言とフォローに万全を期したい。10月を迎えたこの時期になると、実力が伸び始める生徒も多い反面、長期の受験学習と思うように学習成果があがらないために心が折れかけている生徒も決して少なくないはずである。

生徒の学力と志望校の合格水準をよく検討して、個別にラスト3か月の取り組みを話し合い、生徒の奮起を促してほしい。AO入試を志望する生徒には、必ずそれぞれの夢がある。それを原動力として、基礎学力を効率的・集中的に身につける努力を継続できれば、AO入試でセ試基準点をクリアすることは決して難しくない。ひいては、それが一般入試へのベスト対策ともなる。進路指導部と生徒の皆様の今後のご健闘をお祈り申し上げている。

◆2015AO入試でセ試を課す国公立大と基準点一覧

今年度のAO入試でセ試を課す大学・学部の一覧をご紹介する。詳細は弊社の「AO入試年鑑」を参照してほしい(カッコ内は基準点がある場合の数値を示す)。

■旭川医科大
医=医(75%以上/1,200点)
■北海道大
医=医学系(810/900点)、保健学系、応用理工系(520/800点、数学または「物・化」のいずれか150点以上)
■弘前大
医=医
■東北大
<AOⅢ期>法・教育・経済・医・歯・薬・工・農
■千葉大
教育=小学校(60%)
■電気通信大
情報理工=先端工学基礎(夜)
■東京工大
工=第2~6類
■東京農工大
農=環境資源科学(390/600点)
■横浜国大
教育=教科教育(570/900点)、理工=建築都市・環境系(海洋空間のシステムデザインEP)
■信州大
理=地質科学(450/900点)
■富山大
経済昼(200/400点)、理=地球科学(210/400点)
■金沢大
医薬保健=薬・創薬科学(640/800点)
■福井大
工(AOⅡ)=機械工、電気・電子工、情報・メディア工、材料開発工、生物応用化学、物理工
■静岡大
理=地球科学
■三重大
工(2月実施)=機械工・分子素材工・情報工
■大阪大
理(研究奨励AO)=全学科(675/900点)
■神戸大
発達科学=人間行動・人間環境、医=医、海事科学=グローバル輸送科学(600/900点)
■島根
総合理工=理工特別コース(55%以上/500点かつ数理2科目が60%以上/400点)、教育=学校教育(55%/300点)
■岡山大
教育=学校教育・養護教諭、法=法(昼)、薬
■広島大(総合評価方式Ⅱ型)
教育=初等教育(600/900点)、特別支援教育・自然系(585/900点)、技術・情報系(250/500点)、社会系(585/900点)、教育学系(600/900点)、心理学系(600/900点)、法夜(275/500点)、経済=経済昼A(560/900点)、経済昼B・夜(250/500点)、医=医<科学オリンピック型>(720/900点)、保健(540/900点、専門型500点以上)、薬=薬科学(700/900点)、歯=歯(650/900点)、口腔健康(500/800点)、工=第一類・第二類(390/600点)、生物生産(A型=380/700点、B型=390/600点、C型=540/900点)
■愛媛大
法文=人文AOⅡ(国語・外国語の合計240/400点)、教育=学校教育・特別支援教育、理=全学科、農=生物資源AOⅡ
■高知大
土佐さきがけプログラム=生命・環境人材育成コース、グリーンサイエンス人材育成コース
■九州大
<AOⅡ>理=物理・化学・地球惑星科学・数学・生物、医=保健、歯、芸術工=全学科、農
■長崎大(AOⅡ)
歯=歯(70%)、薬=薬科学(75%)、工(最高得点科目が80%以上)
■大分大
医=医
■青森公立大
経営経済=全学科
■兵庫県立大
工、理(数学は各科目90点以上、または理科が計150点以上<うち1科目は90点以上>)、環境人間
■九州歯科大
歯=歯(630/950点)、口腔保健(450/850点)

推薦入試情報

◆2015推薦入試出願時の必須チェック事項

いよいよ2015年度推薦入試への出願が目前に迫ってきた。一般入試と異なり、高校側が責任を持って送り出す推薦入試の場合、担任や進路指導にはこの時期必ずやっておきたいチェック事項がある。その主要事項を簡潔に整理しておこう。

<提出書類のチェック>
生徒が志望する大学への出願書類の最終チェックが必要。大学や推薦区分により、それぞれ提出書類は異なる。高校側で事前に統一の出願書類チェック表を用意し、生徒に記入・提出をさせるぐらいの周到さが必要で、どれか1つの書類が欠けただけでも出願不受理となるので十分注意したい。調査書では成績基準や履修状況および履修条件の確認、特記事項等が適切に記入されているかを綿密にチェックしておきたい。推薦書については、特に推薦理由を明確かつ効果的に表現する必要がある。生徒が作成する書類(志願理由書、活動報告書、自己推薦書等)については、当然ながら誤字・脱字を含む下書きの事前チェックが欠かせない。ただし、過度の添削は禁物である。
<面接力の最終チェック>
大学での試問事項を想定して、すでに何回かの面接トレーニングを実施されているはずだが、この直前期にはどの程度面接力が向上しているか、最終確認をし、欠点が残っていないか確認してほしい。国公私を問わず、面接は推薦入試の根幹をなすので、面接力の向上はきわめて大切だ。
<小論文作成力や基礎学力の最終チェック>
小論文や基礎学力試験における弱点、不十分さが残っていないか確認して、適切に指摘・指導することによって、短期間でも十分生徒のフォローはできる。

以上の点を総合したうえで、受験生の合格可能性が60%程度以上と判断されれば、出願へゴーサインを出してよいが、合格可能性が50%を切るようなら、専願制の鉄則にふれない第2志望校(併願校)も準備しておくべきだろう。

◆推薦区分ごとの定番書類と併願手順の鉄則

推薦入試では、推薦区分によって提出書類にも差異があるが、自己推薦を除いて学校長の推薦書、調査書は必須の提出書類となる。ただし、近畿地区の一部では推薦書を要しない公募推薦がやや増加傾向にある。各区分の主要書類を整理しておこう。

(1)一般・特定教科・専門課程・女子学生・奨学生推薦
この5区分では推薦書・調査書が中心。ただし大学によっては志願理由書のほか自己推薦書、活動報告書等の提出を求めるケースもある。国公立大のセ試併用型では推薦入試用の成績請求票も必要になる。
(2)スポーツ推薦
学校長と部活動指導者の両方の推薦書が必要になるケースがあるので要注意。調査書も必須でほかに競技成績証明書、スポーツ競技歴書、活動報告書(資料)など。
(3)有資格者推薦
推薦書、調査書のほか大学が指定する資格・検定の取得証明書(原本提出のケースもあるので要注意)、活動報告書など。
(4)課外活動推薦・一芸一能推薦
推薦書、調査書のほか課外活動報告書、活動歴書、活動実績・検定取得証明などが必要で、なるべく詳細な資料を時系列方式で添付したほうがよい。
(5)自己推薦
中心となるのは受験生本人の自己推薦書だが、調査書も必須のケースが多く、活動報告書や高校側の志願者評価書などを求めるケースもある。
(6)宗教関連推薦
学校長推薦書、調査書のほか洗礼証明書、宗教関係者の推薦書、宗教活動報告書などが必要になる。
(7)地域推薦
学校長推薦書、調査書のほか地方自治体の首長や指定機関の推薦書が必要になる場合があるので注意したい。
(8)その他の推薦
学校長推薦書、調査書のほか入試内容に応じて、関係団体・同窓会・OB教員等の推薦書等が必要になる。

また、どの区分であれ志願理由書、活動報告書等を提出させるケースもかなり多いので、大学の指定内容には十分注意しなければならない。

最後に推薦入試における併願手順については、専願制のみ注意すればよい。組合せは次の3パターンになる。(1)専願制第1志望+専願制第2志望(第1志望の合格発表後に試験を実施する大学がベスト)、(2)専願制第1志望+併願制第2志望(両方合格の場合は専願制に入学)、(3)併願制第1志望+併願制第2志望(入学手続締切日に注意して志望順位を決め、納付金を節約する)。専願制と併願制を組合わせて、両方に合格した場合、専願制に入学するのが鉄則である。詳細は弊社「推薦入学年鑑」の解説ページを参照してほしい。

ニュースフラッシュ

◆「スーパーグローバル大学」に37校を選定

国際競争力を高める目的で、海外の大学との連携や世界レベルの研究に取り組む大学に国が重点支援する「スーパーグローバル大学」事業に104校が応募し、うち37校が選定された。選考は、大学教員らで構成される審査部会が書類審査と面接を実施したが、「外国籍の教員の割合」「英語による授業の設置」など、41項目にわたって検討したという。支援金もこれまでの施策と比べてきわめて大きいのが特徴で、「トップ型」では今後10年間、毎年最大5億円(計50億円)、「牽引型」では最大3億円(計30億円)が給付される。政府は今後10年間で「世界ランキング100位以内に10校」を目標に掲げている。

■世界ランキング100位以内をめざす「トップ型」

「世界の大学ランキングで100位以内をめざす」というトップ型には、旧帝大を中心に13校が選ばれた。国立大では北海道大、東北大、筑波大、東京大、東京医科歯科大、東京工業大、名古屋大、京都大、大阪大、広島大、九州大の11校で、旧帝大でないのは筑波大、東京医科歯科大、東京工業大、広島大の4校のみ。公立大は皆無であった。

東京大は「世界トップレベルの研究型総合大」を掲げ、海外大学との共同研究や、英語で取得する学位の拡充などを打ち出した。東京工業大は学部・大学院を一体化した「学院」の設置を掲げている。京都大は、世界ランキング10位を目標に世界をリードする研究者の任用増などを挙げている。

私立大では慶應義塾大と早稲田大の2校がかろうじて選定に入ったが、諸外国で100位以内に選ばれている大学は私立であるのとはきわめて対照的である。

■日本の国際競争力向上に貢献する「グローバル化牽引型」

日本の国際競争力向上に貢献する「牽引型」には24校が選定され、うち12校は私立大、また9校は地方大学である点が注目される。

国立大では、千葉大、東京外国語大、東京芸術大、長岡技術科学大、豊橋技術科学大、京都工芸繊維大、奈良先端科学技術大学院、岡山大、熊本大の10校、公立大では国際教養大、会津大の2校が選ばれた。

私立大では、国際基督教大、芝浦工業大、上智大、創価大、東洋大、法政大、明治大、立教大、国際大(新潟県所在の大学院大学)、立命館大、関西学院大、立命館アジア太平洋大の12校が選ばれた。

今後は「トップ型」・「牽引型」に選ばれた大学に受験生の注目度も高まっていくものと予測される。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

AO入試(7):2015学部系統別実施状況と動向

<国公立大>

2015年度現在、国立大では全学部の36.1%、公立大では18.5%の学部でしかAO入試は実施されておらず、当然ながらAOでの実施学部層が薄い分野も多々あるので注意したい。文系では人文科学系は少なく、比較的に社会科学系が多いが、法学系での実施はきわめて少ない。全般的には保健・医療系、理工系、農学系などの自然科学系や教員養成系での導入が目立っている。

弊社の集計で実施学部状況(国立大/公立大の順)を示すと次のようになる(複合学部は複数集計)。

■系統 ■学部数 ■占有率
人文科学 8/6 5.9%/17.1%
社会科学 21/16 15.3%/45.7%
教育(教員養成) 16/1 11.7%/2.9%
理学 23/4 16.8%/11.4%
工学 30/5 21.9%/14.3%
農・水産・獣医 13/0 9.5%/0%
保健・医療 20/2 14.6%/5.7%
生活科学 1/0 0.7%/0%
体育・スポーツ(健康) 4/0 2.9%/0%
芸術 1/1 0.7%/2.9%

<私立大>

私立大では推薦入試と比べてもそう差がないほど実施学部数が増え、しかも全系統にわたって豊富にそろっているのが特徴だろう。弊社の調査では、各系統の実施学部数、比率(%)は次のようになっている(複合領域の学部は複数扱いで集計)。また、カッコ内は推薦入試の実施学部数・占有率を示す。

■系統 ■学部数 ■占有率
人文科学 229(280) 17.2%(16.7%)
社会科学 478(549) 36.0%(32.8%)
教育(教員養成) 141(169) 10.6%(10.1%)
理工 121(145) 9.1%(8.7%)
農・水産・獣医 13(27) 1.0%(1.6%)
保健・医療 132(262) 9.9%(15.6%)
生活(栄養) 80(106) 6.0%(6.3%)
スポーツ(健康) 61(63) 4.6%(3.8%)
芸術 74(74) 5.6%(4.4%)

推薦入試と比較して実施状況が活発といえるのは、社会科学系、教育系、理工系、生活科学系、体育・スポーツ系、芸術系など。逆に実施状況がまだ活発とは言えないのは、農学系や保健・医療系などだろう。

しかしながら、私立大におけるAO入試の実施状況は着実に拡大傾向に向かっている。2014年度の文科省の入試統計は11月ごろ公表されるが、志願者数合計が9万人台に乗っているかどうかに注目したい。今後は、保健・医療系での増加度が、私立大AO入試の動向を大きく左右するだろう。

AO・推薦入試エクストラ(メールマガジン)お申し込み

株式会社栄美通信編集部が、高等学校の先生方に必要であろうと思われる教育関連のニュースを簡潔にまとめ、AO入試年鑑、推薦入学年鑑の情報なども織り込み、隔週でお届けするメールマガジンです。進路指導や職員会議など、様々な用途にお役立ていただければ幸いです。

メルマガお申し込み