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AO・推薦入試エクストラ9月10日号

私立大:2013AO入試全国統計レポート(1)

AO入試情報

◆私立大:2013AO入試全国統計レポート(1)

弊社が毎年実施している諸統計の結果について、数回に分けてレポートする。第1回目は、私立大の学部別実施状況を中心にお伝えする。

まず、AO入試実施校は466校で、前年と同じ。地区別の実施校数は次のとおり。

北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
42校167校77校100校37校43校

学部系統別の実施状況をみると(複合学部は複数扱い)、計1,293学部で、前年より2学部の微増だけで、AO入試の拡大傾向にややブレーキがかかっている印象がある。内訳は次のとおり。

学部系統 2013年度学部数(比率%) 2012年度比増減
人文科学216(16.7%)-13(-1.0%)
社会科学495(38.3%)+21(+1.6%)
教育(教員養成)110(8.5%)-2(-0.2%)
理工130(10.1%)-9(-0.7%)
農・水産・獣医16(1.2%)±0(±0%)
保健・医療121(9.4%)+5(+0.4%)
生活(栄養)78(6.0%)-3(-0.3%)
芸術75(5.8%)+4(+0.3%)
スポーツ(健康)52(4.0%)-1(-0.1%)

社会科学系、保健・医療系、芸術系の3分野を除くと、ほぼ減少している。推薦入試の計1,636学部と比べると少なく、特に保健・医療系では実施数が推薦入試の半分程度にとどまっている。

◆私立大:地区別2013AO入試実施学部状況

私立大でAO入試を実施する地区別の学部状況にはかなり差異があるので、進路指導に際しては十分留意してほしい。弊社の統計では、学部系統別の実施状況(学部数)は次のとおりであった。

系統 北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
人文科学128328581817
社会科学43175811203838
教育(教員養成)6411725147
理工115614231412
農・水産・獣医0101311
保健・医療11481723139
生活(栄養)4261318107
芸術723102177
スポーツ(健康)414121633
(計)98476193307118101

どの地区も社会科学系が最も多いが、その比率が4割を超えるのは北海道・東北、中部の2地区。農・水産・獣医系は、全16校のうち10校が関東地区に集中している。また学部数でみると、関東地区が群を抜いており、全体の37%を占めている。

推薦入試情報

◆私立大:学部系統別2012公募制推薦入試志願動向(弊社集計)

弊社では全国版「推薦入学年鑑」の発刊と共に、私立大の公募制推薦入試の動向を把握するため、多角的な統計作業を実施している。今回は、まず2012入試結果のまとめからレポートしておきたい(データ公表校を集計、一部は指定校制データを含む)。学部系統別の志願・合格状況は、次のとおりであった。

系統 志願者数 合格者数 倍率
人文科学42,146人20,675人2.0倍
社会科学75,911人40,938人1.9倍
教育(教員養成)16,810人6,775人2.5倍
理工24,473人12,282人2.0倍
農・水産・獣医6,035人2,591人2.3倍
保健・医療31,496人12,650人2.5倍
生活(栄養)13,215人5,508人2.4倍
芸術7,091人4,254人1.7倍
スポーツ・体育(健康)9,044人5,007人1.8倍
(計)226,221人110,680人2.0倍

2011年度の計23万2千人と比較すると、約5千人、2.4%の小幅な減少となっている。最も減少が目立つのは社会科学系の約6千人減だろう。それに対して、保健・医療系は約4千人の大幅増加となり、受験生の手堅い進路選択が明白に表れている。教育系は微増にとどまり、ここ数年の志願増の勢いは頭打ちの状況のようだ。その他の系統は前年並みかやや志願減。平均倍率をみると、保健・医療系、教育系が群を抜き、次いで管理栄養士養成を含む生活系、全体に学部数の少ない農学系の倍率が高くなっている。

◆私立大:地区別2012公募制推薦入試志願動向

弊社では2012公募推薦入試の地区別志願状況についても集計を実施。結果は次のとおりであった(データ公表校を集計、一部は指定校制を含む)。

地区 2012年度 2011年度 増減数 増減率(前年)
北海道・東北6,075人6,623人-548人-8.3%(-3.1%)
関東44,627人45,639人-1,012人-2.2%(-1.3%)
中部23,519人24,224人-705人-2.9%(-1.2%)
近畿132,938人136,400人-3,462人-2.5%(+4.7%)
中国・四国9,980人9,280人+700人+7.5%(-0.02%)
九州9,082人9,715人-633人-6.5%(-3.7%)
(計)226,221人231,677人-5,456人-2.4%(+2.1%)

2012年度は、中国・四国のみが志願増となり、他地区は全て志願減となった。中でも例年志願者の6割近くが集中する近畿地区が減少に転じた影響が大きい。関東・中部の減少幅は小さいが、いずれも2年連続の志願減となった。北海道・東北、九州の2地区の減少幅はやや大きく、しかも2年連続の志願減で、この2地区では推薦志向がやや後退している観がある。

なお、地区ごとの平均倍率は、北海道・東北1.3倍、関東1.5倍、中部1.5倍、近畿2.8倍、中国・四国1.5倍、九州1.4倍であった。

ニュースフラッシュ

◆平成24年度学校基本調査(速報値)の公表

文部科学省はこのほど平成24年度の学校基本調査(速報値)を公表した。調査結果の主な概要をご紹介する。

  • (1)幼稚園から高等学校までの在学者は、1,543万6千人で前年度より12万4千人減少した。小学校生はここ4年減少傾向にあり、12万3千人減少し、過去最低を更新。中学校生は過去7年、高校生は過去4年、安定的に推移していたが、数年後に減少傾向に転じる見込み。
  • (2)大学の在学者は287万6千人で、前年度より1万8千人減少。大学全体、学部学生、大学院生いずれも長期的にみて増加傾向にあったが、前年度に過去最高になり、今年度は減少した。
  • (3)専門学校の在学者は57万8千人で、前年度より4千人増加。3年連続の増加となった。
  • (4)大学・短大への進学率については、長期的にみて上昇傾向にあったが、22年度をピークにここ2年は微減。専門学校への進学率は3年連続で上昇している。なお、新規高卒者の進学率は、大学・短大が53.6%(前年度より0.3ポイント低下)、大学(学部)が47.7%(前年同)専門学校が16.8%(前年度より0.6ポイント上昇)となっている。
  • (5)就職率については、高卒、大卒、大学院卒いずれも2年連続で上昇。就職率は次のとおり。高卒16.8%(前年度比0.5ポイント上昇)、大卒63.9%(同2.3ポイント上昇)、大学院(修士課程)73.2%(同0.6ポイント上昇)、大学院(博士課程)67.2%(同3.3ポイント上昇)
  • (6)大学卒業者の就職者のうち、「正規の職員(社員)等でない者」、「一時的な仕事に就いた者」および「進学も就職もしていない者」を合算すると12万8千人にのぼる。これらの安定的な雇用に就いていない者が卒業者に占める割合は22.9%となり、大卒者の5人に1人は非正規・進路未定の状況に置かれている。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆AO入試(6):AO入試に向く生徒の個性・資質のチェック

大学入試のメインは一般入試、次いで推薦入試である。その2つと比較すれば、AO入試の受験市場は小さいが、大学入試の多様化を促進する上で、AO入試は独自の役割を担っており、各高校の進路指導部を受験相談に訪れる生徒も少なくないはずである。高校側では、国公立大、私立大それぞれのAO入試の現状・特質を十分把握したうえで、入試のマッチングを検討する必要がある。

ここでは、どのような生徒がAO入試に向くか、(1)共通事項、(2)国公立大、(3)私立大の3つに分けて考察しておこう。

(1)共通事項

まず志願理由書、自己推薦書、活動報告書等の提出書類を通して、自分の進学目的や適性・能力・意欲等を明確に大学側へアピールできる内容性(学習・課外活動・取得資格など)と表現力を備えていることがポイントになる。とりわけ志望校の教育・研究における特性や卒業後の進路状況に関する十分な理解と、生徒自身との適合性を認識して、明確な進学目的を持っているかどうかを重視すべきだろう。

次に大多数の大学では、面接によって学力水準や適性・能力を判定する。面接の場で、明快に応答できる能力が不可欠になるので、応答・対話を苦手とする受験生の場合は、積極的に発言・対話・討論ができるよう指導する必要がある。

第三に、大学側が設定している「求める学生像」と生徒のマッチングを十分に検証することが大切になる。明らかに学究型や高度専門職業人の候補を求めるタイプのAO入試に、それらへの志向が希薄な生徒を送り込んでも徒労に終わる。近年は各大学とも綿密にアドミッションポリシーを明示しているので注意したい。

(2)国公立大

成績基準の有無にかかわらず、できる限り高学力層が適している。特に専攻教科に関連する成績基準は、高い方がよい(最低でも4.3以上)。募集枠が小さい学部・学科が多いので、調査書の学習記録は合否判定できわめて重要になる。

セ試併用型では、過去の当該校の入試データを調べて、合格者の平均点か、悪くても受験者の平均点以上の得点を見込める学力が必要になる。言うまでもなく、医・歯・薬学系では70~80%以上の得点力が見込めないと合格は難しい。セ試の予測得点ラインが出願の可否を左右する。

また、面接や小論文に対応できる力も不可欠で、いわゆる受験勉強にはさして身を入れていなくても、個性的・自主的な学習・研究活動には熱中するタイプなら、AO入試は最適の受験ルートといえる。国公立大では各学問領域への高い適性および資質が不可欠といえる。

(3)私立大

私立大で最も基本的なことは、専願区分のいかんに関わらず、第1志望としての入学熱意になる。生徒が志望校を十分研究した上で、入学を希望しているかどうかが前提条件で、単に早期合格を確保したいという動機なら、再考を促す必要がある。

私立大のAO入学者比率が10%を超えている今日、私立大におけるAO入試は高度人材発掘型、高学力型、課外活動型、有資格型、入学熱意型など様々に多様化しているが、各タイプに向く生徒の個性、能力、資質等の判断はさほど困難ではないだろう。各大学のアドミッション・ポリシーに沿って、各選考パターンへの適性をチェックすればよい。特に中堅私立大群にあっては、一般入試に対応できる学力、あるいは推薦入試にふさわしい成績基準を備えていなくても、生徒の目的志向やチャレンジ姿勢次第でAO入試の門戸は広く開かれている。

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