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AO・推薦入試エクストラ4月10日号

AO入試対策:2014生徒指導スタートのポイント

AO入試情報

◆AO入試対策:2014生徒指導スタートのポイント

2014年度入試に向けスタートを切るに当たり、AO入試対策に関する基本的な指導ポイントを整理しておこう。言うまでもなく、大学によりAO・推薦の実施状況は異なる。AO入試のみでは志望校の選択範囲は限られる。AO・推薦・一般の3区分を通して受験態勢を確立し、最終的には一般入試のための学習対策を貫徹する姿勢が大切であることを十分生徒に周知しておくことが肝心だろう。

その上で、AO入試を活用させる際のキーポイントとして、次のような事柄があげられよう。

  • (1)第1志望校(学部・学科)が早期から明確なこと。AO入試の多く(私立大は8割程度)は専願制で実施される。入学して悔いのない大学・短大であることが、生徒の将来にとって重要である。
  • (2)AO入試は、個性豊かな学習・活動に取り組んでいる生徒に向く。多様な生徒の中には、いわゆる受験のための学習にはさほど熱意はないが、ユニークな自主研究や課外活動・資格取得には情熱を注ぐ者も多い。そうした若者にとって、人物重視のAO入試は最適の受験ルートになる。
  • (3)大学入学後、また卒業後にやりたいことが明確であること。AO入試では大学入学の目的や計画、将来のヴィジョンがきびしく問われる。高3の早い段階で、将来を含めた進路計画ができている生徒に向く。中堅私立大群の場合、推薦入試の成績基準や合格者レベルには届かなくても、入学熱意や大学生活への目的観などによって、AO入試で合格できるケースも多々ある。
  • (4)AO入試の選考法は多彩で、生徒に向くパターンの選択に留意させること。多くの書類のほか、面談・面接、課題レポート、小論文、集団討論、スクーリング、センター試験など様々な選考法があり、生徒の個性・能力に適した選考法のチェックにも注意させる必要がある。

◆AO入試による大学入学状況

この10数年で、AO入試の実施状況は格段に進展してきたが、国公私立によって、その入学者数・比率には大きな差異がみられる。2012年度文科省統計によると、AO入学者数(入学者比率)は下記グラフのとおりとなっている。

 

AO入試による大学入試状況

 

前年度と比べ、国立大・公立大・私立短大でAO入学比が若干上昇したが、私立大では若干低下した。全般にAO入学比率が高いのは私立大・短大で、私立大・短大では日程的にAO・推薦・一般の3段階型入試が定着。3区分を通して戦略的に受験プランを練ることが大切になる。

日程については、文科省の実施要項により、AOが8月1日以降、推薦が11月1日以降、一般が2月1日以降の出願開始となる。ただ、AO入試では6月~7月からの早期エントリーも残っているが、主要私立大の出願は8月~9月、選考は9月~10月に集中する。それだけに、早い段階で第1志望を決定できているかどうかがカギになる。

推薦入試情報

◆推薦入試対策:2014生徒指導スタートのポイント

2014年度入試に向けてスタートを切るに当たり、推薦入試に関する基本的な対策・指導の主要ポイントを整理しておこう。言うまでもなく、推薦入試は国公私を問わず、導入率が高く、実施学部も豊富なので、現役合格の確保には欠かせない受験ルートだが、最終的には一般入試の学習対策を貫徹する姿勢が大切であることを十分生徒に周知しておくことがきわめて大切である。

その上で、推薦入試を活用させる場合のキーポイントとして、次のような事柄があげられよう。

  • (1)専願制・併願制の2タイプがあること。当然ながら、専願制のケースは第1志望であることが望ましく、入学して悔いの生じない大学・短大であることが、生徒の将来を大きく左右する。併願制のケースは、中部・近畿・中四国に多く、複数校の併願も可能だが、やはり志望熱意の高い大学・学部を選択するのが原則だ。
  • (2)一般推薦・ユニーク推薦の2タイプがあること。募集枠からみれば一般推薦が主流で、このタイプではやはり一定程度以上の成績水準が必要になるので、前期の校内テストにはベストを尽くすよう指導しておきたい。ただし、学力試験を主要な選考法とするケース(特に近畿地区)は、成績基準を設けないのが一般的だ。いずれにしても、第1志望校の成績基準は、3年次の早い段階で確認させておく必要がある。
    一方、ユニーク推薦は、自主的な特別・課外・社会活動や各種の検定資格等の実績を持つ者に向く。推薦入試が多様な個性・資質・キャリアを受け入れる入試ルートであること、上位私立大群も活発に導入していることを周知しておきたい。
  • (3)学習・生活の両面でまじめさが必要なこと。推薦入試は調査書によって、高校時代の学習状況(所見含む)と出席状況その他の生活態度をきびしく検証する入試である。成績が志望校の基準を満たさない者、欠席日数がきわめて多い者、出席停止の記録がある者などは推薦入試には適さない。
  • (4)主要な選考法は、調査書プラス面接(口頭試問含む)、小論文、学力試験、実技の4タイプ。志望校の選考法を十分研究し、ふだんから万全の対策を徹底することが大切である。

◆推薦入試による大学入学状況

推薦入試制度の歴史は長く、国公私それぞれで定着している。2012年度文科省統計によると、指定校制を含む推薦入学者数(入学者比率)は、下記グラフのとおりとなっている。

 

推薦入試による大学入試状況

 

前年度に比べ、推薦入試を実施した大学・学部数は増加したが、入学者数は若干減少した。公立大は上昇の一途で、私立短大も0.3ポイント上昇した。特に推薦入学比率が高いのは私立短大、公立短大、私立大で、推薦入試の活用が不可欠である。近年、私立大・短大ではAO入試へ志願者が分散する傾向があるが、依然として推薦入試の重要性は変わらない。

公立大では、県(市)内型と全国型に分かれるが、その入学者比率はかなり高いので、活用できる場合は十分検討したい。国立大の12.4%は小さいように見えるが、推薦入試を実施する大学・学部に限った収容定員に対する比率では、25~40%程度になることに留意してほしい。

ニュースフラッシュ

◆京都大が2016年度からAO・推薦を柱に「特色入試」導入

東京大が後期廃止→推薦入試導入を公表したのに続いて、京都大も2016年度からAO・推薦入試を柱とした「特色入試」を導入すると公表。東西両横綱の入試改革のそろい踏みに、驚かれた先生方も多いことだろう。京都大はこれまで前期日程のみを実施していたが、受験機会の複数化を求める高校側の要望が強く、昨年から「高大接続型京都大学特色入試」として入試改革の検討を行ってきた。

詳細は来年3月までに決定・公表となるが、現時点の実施内容の予定は次のとおりとなっている。募集予定は定員約2,800人のうち約100人。現・浪を問わず出願できるが、成績上位5%以内(マルA)を対象とする。全10学部のうち、最も募集人員が多いのは経済学部の25人。

高校時代の活動を詳しく把握するため、調査書とは別途に「学業活動報告書」(高校作成)を求め、科学系コンテストや課外活動、ボランティアなどにも注目する。また、志願者全員に入学後の「まなびの設計書」の提出を求める。

選考方法は、大学入試センター試験に加え、各学部ごと独自に論文試験、面接、口頭試問(理学部)を行って選考する。教育学部では、知識量だけでなく、思考力や表現力を評価する「パフォーマンス課題」を課す試験を検討している。

10学部のうち、医学部医学科と工学部4学科は推薦入試として、その他の学部はAO入試として実施する。法学部は3月の実施としているが、その他は前期日程前に実施し、不合格の場合は前期日程を受験できるようにする。松本学長は「高校での幅広い学習に裏付けられた総合力と学ぶ力、高い志を評価する仕組みだ」と説明している。AO・推薦入試には根強い批判も多いが、東大・京大の参入によって、大学入試に対する認識が大きく変化するだろう。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆AO入試(1):入試制度の沿革・概要・現状

第2次大戦後の昭和24年、新制大学制度が発足して以来、わが国の社会は急速に発展を遂げ、大学進学率も上昇の一途を辿り続けてきた。1990年代に入ると、大学を中心とする高等教育はユニバーサル化の様相を強めてきた。そうした社会現象と連動して、大学入学者選抜の多様化を推進するため、1997年、中央教育審議会がAO入試の導入と拡大を提言したのを受けて、文科省は正式に入試制度として実施要項に明記することとなった。

翌1998年度にまず同志社大が導入し、1999年度から桜美林大・立命館大など、2000年度から国立・私立大が続々と導入し始めて急速に拡大し、2013年度の実施状況(弊社調査)は次のとおりとなっている。

  • (1)国立大=82校中47校(57.3%)
  • (2)公立大=81校中21校(25.9%)
  • (3)私立大=576校中466校(80.9%)
  • (4)公立短大=17校中5校(29.4%)
  • (5)私立短大=325校中257校(79.1%)

国公立大・短大での実施率が低いのは、入試スタッフに余裕がないことが主な要因とみられるが、AO入試の重要性に対する認識も十分ではないようだ。国立大では後期日程の廃止と連動してAO入試の導入がやや進んだが、まだ実施学部・学科数が推薦入試と比べると格段に少なく、受入定員も小さい。ただ、2016年度からの京大の導入によって、促進の気運は多少出てくるかもしれない。九州大法は2015年度からAO入試を導入する。それに対して、私立大・短大ではこの10年余で急速に拡大し、その多くでAO・推薦・一般の3段階型日程が定着しつつある。

中央教育審議会は、当初、AO入試の基本として次の5点を挙げている。

  • (1)受験生が自らの意志で出願できる公募型の入試であること。
  • (2)求める学生像や、受験生に求める能力・適性等を明確にし、それに応じた選抜法を工夫・開発すること。
  • (3)受験生の能力、適性、意欲、関心等を多面的、総合的に評価すること。
  • (4)高校側との相互コミュニケーションを重視するものであること。
  • (5)専門的な(入試)スタッフの充実等、十分な態勢を整備すること。

これらのガイドラインに沿って、高校教育と大学教育のスムーズな教育的接続を主眼として、AO入試は次第に成熟化への道を辿ってきた。

その反面、入試日程に一定の歯止めがなかったことから、5~6月からスタートするAO入試も多く、「青田買い」「学力不問入試」などの批判も絶えなかった。折しも、学士力の向上が高等教育の重要な課題として議論され始め、文科省は「大学入学者選抜実施要項」を2010年度に改訂し、2011年度から全大学に義務づけ、AO入試は新しい段階へ移ることになった。

その重要な変更点は、次の4点である。

  • (1)大学入学者選抜の基本方針では、「学力の要素を適切に把握」するよう転換を図った。
  • (2)入学者受入方針の明確化と、高校で履修すべき科目や取得が望ましい資格等をできる限り明示するよう求めた。
  • (3)AO入試で初めて「8月1日以降」と願書受付始期が設定された。
  • (4)AO入試における学力把握措置として、(ア)各大学が実施する検査(筆記、実技、面接等)、(イ)大学入試センター試験の成績、(ウ)資格・検定試験などの成績等、(エ)高等学校の教科の評定平均値、のいずれかを出願要件や合否判定に用いることとし、(ア)~(ウ)を行う場合には(エ)を積極的に活用することとした。

改訂4年目となる2014年度入試では、上記の方針がさらに多くの大学へ浸透するのは確実で、AO入試の指導に際して十分留意してほしい。

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