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AO・推薦入試エクストラ4月10日号

AO入試対策:2015生徒指導スタートのポイント

AO入試情報

◆AO入試対策:2015生徒指導スタートのポイント

2015年度入試に向けスタートを切るに当たり、AO入試対策に関する基本的な指導ポイントを整理しておこう。言うまでもなく、大学によりAO・推薦の実施状況は異なる。AO入試のみでは志望校の選択範囲は限られる。AO・推薦・一般の3区分を通して受験態勢を確立し、最終的には一般入試のための学習対策を貫徹する姿勢が大切であることを十分生徒に周知しておくことが肝心だろう。

その上で、AO入試を活用させる際のキーポイントとして、次のような事柄があげられる。

  • (1)第1志望校(学部・学科)が早期から明確なこと。AO入試の多く(私立大は8割程度)は専願制で実施される。入学して悔いのない大学・短大であることが、生徒の将来にとって重要である。
  • (2)AO入試は、個性豊かな学習や活動に取り組んでいる生徒に向く。多様な生徒の中には、いわゆる受験のための学習にはさほど熱意はないが、ユニークな自主研究や課外活動・資格取得には情熱を注ぐ者も多い。そうした若者にとって、人物重視のAO入試は最適の受験ルートになる。
  • (3)大学入学後、また卒業後にやりたいことが明確であること。AO入試では大学入学の目的や計画、将来のヴィジョンがきびしく問われる。高3の早い段階で、将来を含めた進路計画ができている生徒に向く。中堅私立大群の場合、推薦入試の成績基準や合格者レベルには届かなくても、入学熱意や大学生活への目的観などによって、AO入試で合格できるケースも多々ある。
  • (4)AO入試の選考法は多彩で、生徒に向くパターンの選択に留意させること。多くの書類のほか、面談・面接、課題レポート、小論文、集団討論、スクーリング、センター試験など様々な選考法があり、生徒の個性・能力に適した選考法のチェックにも注意させる必要がある。特に国立大志望者にとっては、年間を通してセ試対策を貫徹することが大切である。

◆AO入試による大学入学状況(入学者比率)

この10数年で、AO入試の実施状況は格段に進展したが、設置者別にみると、それぞれの入学者比率・入学者数には大きな差異がみられる。2013年度の文部科学省統計によると、AO入学者比率は、下記グラフのとおりとなっている。

入試区分の大学入学者比較

前年の2012年度と比べ、国立大は入学者数・比率とも若干減少。公立大は比率は同じながら、入学者数は微増。私立大は入学者数が2千人近く増え、比率も10.2→10.3%と0.1ポイント上昇した。公立短大は、前年の1.9%から2.3%に増加したが、人数は微増で大きな変化はない。一方、注目されるのは私立短大で、入学者比率は19.4%から19.8%へ上昇し、2割台に乗るのは時間の問題とみられる。

推薦入試情報

◆推薦入試対策:2015生徒指導スタートのポイント

2015年度入試に向けてスタートを切るに当たり、推薦入試に関する基本的な対策・指導の主要ポイントを整理しておこう。言うまでもなく、推薦入試は国公私を問わず、導入率が高く、実施学部も豊富なので、現役合格の確保には欠かせない受験ルートだが、最終的には一般入試の学習対策も貫徹する姿勢が大切であることを十分生徒に周知しておくことがきわめて大切である。

その上で、推薦入試を活用させる場合のキーポイントとして、次のような事柄があげられよう。

  • (1)専願制・併願制の2タイプがあること。当然ながら、専願制のケースは第1志望であることが望ましく、入学して悔いの生じない大学・短大であることが、生徒の将来を大きく左右する。併願制のケースは、中部・近畿・中四国に多く、複数校の併願も可能だが、やはり志望熱意の高い大学・学部を選択するのが原則だ。
  • (2)一般推薦・ユニーク推薦の2タイプがあること。募集枠からみれば一般推薦が主流で、このタイプではやはり一定程度以上の成績水準が必要になるので、前期の校内テストにはベストを尽くすよう指導しておきたい。ただし、学力試験を主要な選考法とするケース(特に近畿地区)は、成績基準を設けないのが一般的だ。いずれにしても、第1志望校の成績基準は、3年次の早い段階で確認させておく必要がある。
     一方、ユニーク推薦は、自主的な特別・課外・社会活動や各種の検定資格等の実績を持つ者に向く。推薦入試が多様な個性・資質・キャリアを受け入れる入試ルートであること、上位私立大群も活発に導入していることを周知しておきたい。
  • (3)学習・生活の両面でまじめさが必要なこと。推薦入試は調査書によって、高校時代の学習状況(所見含む)と出席状況その他の生活態度をきびしく検証する入試である。成績が志望校の基準を満たさない者はむろん、欠席日数がきわめて多い者、出席停止の記録がある者などは推薦入試には適さない。
  • (4)主要な選考法は、調査書プラス面接(口頭試問含む)、小論文、学力試験、実技の4タイプ。志望校の選考法を十分研究し、ふだんから基礎学力強化を含め万全の対策を徹底することが大切である。また、国公立大志望者は年間を通してセ試対策にベストを尽くすことも必要だろう。

◆推薦入試による大学入学状況(入学者比率)

推薦入試制度の歴史は長く、国公私立大・短大それぞれで定着している。2013年度文科省統計によると、指定校制を含む入学者比率(推薦入学者数)は、下記グラフのとおりとなっている。

推薦入試区分の大学入学者比率

前年の2012年度と比べ、国立大は入学者比率が12.4%→12.3%と若干低下。人数にすれば100人程度の減少。公立大における推薦入学者比率・人数は増加の一途を辿っており、比率は前年の23.9%から24.1%へ上昇した。

一方、私立大では前年と比べ推薦入学者数が約4千人の大幅増となったことが注目される。ただ、比率そのものは変化していない。AO+推薦の比率が50.6%と一般入試を上回る門戸逆転が持続している。

公立短大も推薦入学者比率が43.2%と高く、私立短大に至っては61.9%と6割を超えている。

ニュースフラッシュ

◆週刊東洋経済が最新版「大学ランキングトップ300」を公表

現在、わが国の大学の“持てる力”を独自の観点から評価した情報誌には数種類あるが、週刊東洋経済のそれは「財務力」の分析に定評があり、その最新版「大学ランキングトップ300」の概要を進路指導の参考にご紹介する。

同誌では(1)教育力(教育研究充実度、科学研究費補助金、教員1人当たりの学生数)、(2)就職力(就職率、上場企業役員数、主要企業404社への就職率)、(3)財務力(志願者数増減率、経常利益率、自己努力収入比率、自己資本比率)という3項目10指標をもとに総合ポイントを算出し、上位300校を公表している。

総合1位は東京大で、8年連続のトップ。とにかく科学研究費と上場企業役員数が群を抜く。以下、ベスト10には京都大、慶應義塾大、大阪大、豊田工業大、早稲田大、東北大、東京工業大、名古屋大、九州大が名を連ねるが、私立大3校が含まれていることも注目される。

全般的にみると、医科系大学も上位に多い。順天堂大が13位、自治医科大が16位、北里大が24位で、教育研究充実度に病院経費が含まれていること、教員1人当たりの学生数が少ないことなどが高順位の要因となっている。

また、就職に有利な理系大学の健闘も目立つ。22位の長岡技術科学大は前年より16ランク、26位の豊橋技術科学大は21ランク上昇した。25位の千葉工業大、40位の名古屋工業大など、工学系大学も順位を大きく上げている。昨年の105位から今年30位に躍進したのは青森中央学院大。1998年開設で歴史の浅い経営法学部のみの単科私大だが、就職率が95%を超えて順位が飛躍的に上昇した。

ちなみに総合100位までに入っている国立大は38校、公立大は12校、残り半数の50校は私立大が占める。いわゆる受験界における有名度と、この総合評価における順位とは必ずしも連動していない。一例をあげると、15位の創価大、16位の東海大、40位の東京神学大、47位の畿央大、54位の福井工業大、62位の富山国際大、91位の明海大などがあげられよう。

なお、今回紹介した雑誌以外にも『大学の真の実力 情報公開BOOK』(旺文社ムック/9月下旬発行予定)や『大学ランキング』(週刊朝日進学MOOK/4月下旬発行予定)、『大学の実力(暮しの設計)』(読売新聞教育部/9月下旬発行予定)などが大学を総合的に評価した媒体として知られている。それぞれ独自の視点で情報が整理されており、結果にも媒体ごとの特徴がでているので、一度目を通してもらいたい。

いずれにしろ、大学選びには、様々な価値観がからむが、教育力、就職力、財務力が総合的に優れているかどうかも、将来の選択にとって重要な指針となるだろう。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆AO入試(1):AO入試制度の沿革・概要・現状

第2次大戦後の昭和24年、新制大学制度が発足して以来、わが国の社会は急速に発展を遂げ、大学進学率も上昇の一途を辿り続けてきた。1990年代に入ると、大学を中心とする高等教育はユニバーサル化の様相を強めてきた。そうした社会現象と連動して、大学入学者選抜の多様化を推進するため、1997年、中央教育審議会がAO入試の導入と拡大を提言したのを受けて、文科省は正式に入試制度として実施要項に明記することとなった。

 翌1998年度にまず同志社大が導入し、1999年度から桜美林大・立命館大など、2000年度から国立・私立大が続々と導入し始めて急速に拡大し、2014年度の実施状況(弊社調査)は次のとおりとなっている。

  • (1)国立大=82校中46校(56.1%)
  • (2)公立大=83校中21校(25.3%)
  • (3)私立大=577校中469校(81.3%)
  • (4)公立短大=17校中5校(29.4%)
  • (5)私立短大=322校中259校(80.4%)

公立大・公立短大での実施率が低いのは、入試スタッフに余裕がないことが主な要因とみられるが、AO入試の重要性に対する認識も十分ではないようだ。公立大の2015実施校はさらに2校減少する。国立大では後期日程の廃止と連動してAO入試の導入がやや進んだが、まだ実施学部・学科数が推薦入試と比べると格段に少なく、受入定員も小さい。ただ、2016年度から京都大が導入することによって、促進の気運は多少出てくるかもしれない。九州大法は2015年度からAO入試を導入する。それに対して、私立大・短大ではこの10年余で急速に拡大し、その多くでAO・推薦・一般の3段階型日程が定着しつつある。

中央教育審議会は、当初、AO入試の基本として次の5点を挙げている。

  • (1)受験生が自らの意志で出願できる公募型の入試であること。
  • (2)求める学生像や、受験生に求める能力・適性等を明確にし、それに応じた選抜法を工夫・開発すること。
  • (3)受験生の能力、適性、意欲、関心等を多面的、総合的に評価すること。
  • (4)高校側との相互コミュニケーションを重視するものであること。
  • (5)専門的な(入試)スタッフの充実等、十分な態勢を整備すること。

これらのガイドラインに沿って、高校教育と大学教育のスムーズな教育的接続を主眼として、AO入試は次第に成熟化への道を辿ってきた。

その反面、入試日程に一定の歯止めがなかったことから、5~6月からスタートするAO入試も多く、「青田買い」「学力不問入試」などの批判も絶えなかった。折しも、学士力の向上が高等教育の重要な課題として議論され始め、文科省は「大学入学者選抜実施要項」を2010年度に改訂し、2011年度から全大学に義務づけ、AO入試は新しい段階へ移ることになった。

その重要な変更点は、次の4点である。

  • (1)大学入学者選抜の基本方針では、「学力の要素を適切に把握」するよう転換を図った。
  • (2)入学者受入方針の明確化と、高校で履修すべき科目や取得が望ましい資格等をできる限り明示するよう求めた。
  • (3)AO入試で初めて「8月1日以降」と願書受付始期が設定された。
  • (4)AO入試における学力把握措置として、(ア)各大学が実施する検査(筆記、実技、面接等)、(イ)大学入試センター試験の成績、(ウ)資格・検定試験などの成績等、(エ)高等学校の教科の評定平均値、のいずれかを出願要件や合否判定に用いることとし、(ア)~(ウ)を行う場合には(エ)を積極的に活用することとした。また、合格後から入学までの「学習喚起」(入学前教育)についても、AO入試の分野が最も活発に実施されている。

改訂5年目となる2015年度入試では、上記の方針がさらに多くの大学へ浸透するのは確実で、AO入試の指導に際して十分留意してほしい。

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