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AO・推薦入試エクストラ9月25日号

私立大:2017AO入試全国統計レポート(2)

AO入試情報

私立大:2017AO入試の全国統計レポート(2)

前号に続き、私立大2017AO入試における専願区分、成績基準、資格・活動実績基準に関する弊社の統計レポートをお届けする。

専願区分 大学数 比率
専願制 396校 79.5%
併願制 85校 17.1%
専・併 5校 1.0%
定めず 12校 2.4%

AO入試でも全体の約8割は専願制で実施し、併願制は17.1%と少ない。出願期が早いので、3年次の早期に第1志望校を絞り込んだ生徒でないと、AO入試は活用しにくい。

成績基準 大学数 比率
設定なし 432校 82.1%
複数条件の1つ 12校 2.3%
必須条件 82校 15.6%

推薦入試との大きな相違点の1つが、成績基準の設定がきわめて少ないことだろう。必須条件としているのは全体の15.6%で、8割余は成績基準を設けておらず、多くの志願者が流れ込む最大要因となっている。

資格・活動実績 大学数 比率
設定なし 391校 63.5%
複数条件の1つ 99校 16.1%
必須条件 126校 20.4%

成績基準と異なり、取得資格や活動実績を設定する割合は、複数条件の1つと必須条件を合わせて36.5%と全体の4割近くを占める。逆の見方をすれば、資格や活動実績を持つ生徒には、AO入試は現役合格へのパイプとなりうる入試であると言えよう。

ただし、上位私立大群ではAO枠がさほど大きくなく、出願要件と合格可能性を慎重に検討する必要がある。

◆私立大:地区別2017出願条件の設定状況

ここでは2017AO入試の出願条件に関する地区別の弊社統計をご紹介する。各地区の特徴を十分把握しておいてほしい。

<専願区分>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
専願制 37校 134校 69校 83校 35校 38校
併願制 4校 47校 13校 16校 1校 4校
專・併 0校 2校 1校 2校 0校 0校
定めず 1校 6校 2校 3校 0校 0校

推薦入試では併願制が主流の中部、近畿、中国・四国地区においても、AO入試は専願制主流なので要注意。一方、関東地区の推薦入試は専願制が主流だが、AO入試では併願制も全体の24.9%とかなり多い。

<成績基準>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
設定なし 37校 164校 71校 89校 34校 37校
複数条件の1つ 0校 8校 0校 3校 0校 1校
必須条件 6校 24校 14校 25校 7校 6校

成績基準を必須条件として設けるケースは、近畿地区が最も多く、次いで関東地区が目立つが、一部の有名私大を除き、全般的にAO入試の基準は緩やかである。

<資格・活動実績>
地区
区分
北海道
東北
関東 中部 近畿 中国
四国
九州
設定なし 27校 146校 67校 88校 34校 29校
複数条件の1つ 11校 39校 8校 23校 5校 13校
必須条件 5校 53校 12校 36校 6校 14校

必須条件としての設定率が最も高いのは九州地区で25.0%、次いで近畿地区の24.5%、関東地区の22.3%が高い。

推薦入試情報

◆国公立大:2016公募推薦入試の学部系統別志願動向(統計レポート2)

これまで弊社では私立大の公募推薦入試に関する様々な統計を実施しているが、本年度初めて国公立大の学部系統別志願動向の調査統計をまとめたのでレポートしておきたい。

国立大の学部系統別志願動向は次のとおりであった。

<国立大>
学部統計 志願者数 合格者数 競争率
人文科学 1,897人 636人 3.0倍
社会科学 4,660人 1,962人 2.4倍
教育(教員養成) 6,193人 2,122人 2.9倍
理学 1,442人 674人 2.1倍
工学 6,182人 2,765人 2.2倍
農・水産 2,740人 1,004人 2.7倍
保健・医療 6,246人 1,862人 3.4倍
生活科学 253人 57人 4.4倍
芸術・スポーツ 865人 328人 2.6倍
(計) 30,478人 11,410人 2.7倍

国立大は全て公募制で入試結果の非公表校もないので、弊社集計と11月公表される文科省統計の誤差も小さいとみられる。まず全体的に志願者数の上位をみると、保健・医療系、教育・教員養成、工学系の3分野が6千人を超えてベスト3を占める。次いで社会科学系の4,660人、農・水産系の2,740人が続いている。理系(理・工・農・保健)の志願者数は約1万7千人で、全体の54.5%を占める。予想外だったのは、教育・教員養成系が第2位に入っていることで、この分野の志望者は女子が多いこともあり、推薦志向が強いとみられる。

一方、合格者でみると、工学系、教育・教員養成、社会科学系、保健・医療系の順に多い。最も合格者数が少ないのは生活科学系でわずか57人にとどまっている。

その結果、競争率では生活科学系の4.4倍が最も高く、次いで保健・医療系の3.4倍、人文科学系の3.0倍、教育・教員養成系の2.9倍、農・水産系の2.7倍の順となっている。理・工学系は倍率が低く、推薦入試活用の余地が大きいと言ってよい。

◆公立大:2016学部系統別志願動向

ここでは公立大の2016公募推薦入試の志願動向をレポートする。衆知のとおり、公立大は一部で指定校制を実施しており、全体の数値は弊社統計と文科省統計では若干差異が生じることをおことわりしておく。公立大の2016公募推薦入試結果の集計状況は以下のとおり。

学部系統 志願者数 合格者数 競争率
人文科学 1,936人 754人 2.6倍
社会科学 5,487人 2,694人 2.0倍
教育・教員養成 604人 208人 2.9倍
理・工学 2,068人 917人 2.3倍
農・水産 550人 255人 2.2倍
保健・医療 5,556人 1,920人 2.9倍
生活科学 845人 191人 4.4倍
芸術・スポーツ 893人 296人 3.0倍
(計) 17,939人 7,235人 2.5倍

公立大における推薦実施学部数は、保健・医療系と社会科学系の2分野が群を抜いて多いのが特徴だが、志願者数も保健・医療系が5,556人、社会科学系5,487人とこの2分野だけが5千人を超えている。人文・社会科学系の志願者数は国立大を上回っている。

合格者数をみると、社会科学系、保健・医療系の2分野が突出しており、最も少ないのは国立大と同じく生活科学系の191人となっている。

競争率をみると、生活科学系の4.4倍が最も高く、次いで芸術・スポーツ系の3.0倍、教育・教員養成系の2.9倍、保健・医療系の2.9倍の順となっている。

公立大では地元型が多いこともあって、平均倍率は2.5倍と国立大より若干低いが、全国枠では倍率が高くなる傾向にあることに留意したい。

ニュースフラッシュ

◆28年度司法試験:35校は合格率が1割未満

法務省はこのほど28年度司法試験の合格状況を公表した。前年より1,117人減の6,899人が受験し、合格者は1,583人で267人減。平均合格率は22.95%(0.13ポイント減)で、2006年度に始まった新試験制度で2番目に低い水準だった。

政府は昨年、合格者数を「毎年1,500人以上」とする目標を掲げた。受験者、法科大学院の志願者が減少するなか、かろうじてその目標値を上回った。

合格者は男性が1,212人、女性が371人で、女性の占有率は23.4%。合格者の年齢は21~66歳で、平均は28.3歳。法科大学院修了者は1,348人が合格し、合格率は20.68%どまり。一方、法科大学院を経ない予備試験通過者は、受験者382人、合格者は235人にのぼり、合格率は61.52%とはるかに高い。

また、最大74校あった法科大学院は、合格率の低さなどからすでに32校が廃止または募集停止を公表している。大学院修了から5年以内に3回までという受験制限が5回までに緩和された今年、5回目の受験者は53人が合格した。

大学別に合格状況をみると、合格率4割を維持したのは一橋大、東京大、京都大、慶應義塾大、の4校のみ。30%台は早稲田大、神戸大の2校。20%台は中央大、九州大、大阪大、愛知大(受験者15人、合格者4人)、名古屋大、東北大、北海道大、広島大の8校。10%台は25校、その他の35校は1割未満(うち合格者ゼロは7校)であった。

受験者数は、司法試験に積極的な姿勢を示す大学とも考えられるが、中央大462人、早稲田大424人、慶應義塾大350人、明治大297人などが際立っている。国立では東京大285人、京都大222人の2校が突出している。

そして、合格者数はその実績を示すが、慶應義塾大の155人を筆頭に、早稲田大152人、東京大137人、中央大136人、京都大105人がベスト5を占めている。

法科大学院制度が発足してからすでに10年余が経過し、その4割以上がすでに廃止や募集停止を決定、残るは42校となる。ここに集まる精鋭の合格率が、せめて70%台という時代を迎えることができなければ、新司法の理念の実現も遠いと言えよう。

【連載コラム】AO・推薦入試基礎講座

◆推薦入試(6):私立大の選考パターンの特徴と対策

私立大の推薦入試(公募制)における選考方法については、学部系統や地区によってかなり差異があることを十分踏まえて、生徒の指導に当たることが大切だろう。一般推薦・ユニーク推薦を問わず、選考方法自体は共通だが、大別すると、次の7パターンに分類できる。

(1)書類・面接型
一定の成績基準を定めている一般・ユニーク推薦で比較的に目立つパターン。また、地方圏の中堅私立大群でもこのパターンが多い。推薦入試の中では最もシンプルな選考法で、近年若干増加傾向にあるが、志望動機、入学後の計画などで明確な応答を心がけると共に、やはり基礎学力試問対策も十分やっておく必要がある。
(2)書類・小論文・面接型
全国的にみて推薦入試の最もポピュラーな選考法。評価法を公表する私立大の約9割が小論文を点数化して重視しているので、過去問の研究も大切になる。
(3)書類・学科試験型
面接を実施せず、基礎学力試験の結果を中心に選考するタイプで、成績基準を設定していないケースが多く、近畿地区の主流パターン。
(4)書類・小論文型
パターン(3)の変型で、学科試験の代わりに小論文を実施するが、比較的に中部地区で目立っている。
(5)書類・学科試験・面接型
保健・医療系や一部の理工系・教育系・管理栄養系がこのパターンを導入しており、大都市圏の有名私立大で目立っている。
(6)書類・学科試験・小論文・面接型
医学系で目立ち、受験負担が最も重いパターン。
(7)書類・実技型
面接や小論文を含むケースもあるが、芸術系・体育系で選考の中心となるのは実技試験で、高校3年間の活動実績も重視される。

弊社の調査で、2017一般推薦で面接を課すのは、全体の約8割で、最も実施率が低いのは近畿地区の44.9%となっている。一方で学科試験を課すのは、全国平均では40.8%だが、近畿地区では70.7%にのぼる。

各地区における学科試験の実施状況、調査書・面接・小論文の評価方法等の詳細は本メールマガジンで今後順次レポートするので参照してほしい。

推薦入試における主要選考要因は、調査書(他の提出書類の充実度も重要)、面接、小論文、基礎学力試験の4つ。東日本では面接・小論文が主流を占め、西日本では学力検査が重く用いられる傾向が強いが、大学によって選考法は多様である。生徒の個性、能力、資質等に応じて、適切な志望校選択を助言してほしい。

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