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AO・推薦入試エクストラ7月25日号

私立大・短大:2018AO入試の出願条件の設定状況

AO入試情報

◆私立大・短大:2018AO入試の出願条件の設定状況

弊社では例年AO入試に関する出願条件を(1)成績基準、(2)取得資格・活動実績の2区分で統計を取り続けている。最近の動向を展望してみよう。

<成績基準>
■私立大
2018年度の場合、成績基準を必須条件とするケースが93校(17.2%)で、前年の82校から11校増加して、2011年度の実施要項改訂以降、増加傾向をたどり続けている。ただし、高基準の設定は少ない。複数条件の1つとしているケースは10校で前年より若干減少。成績基準を設けないケースは、前年の82.1%から80.9%へやや減少した。
■私立短大
成績基準を必須条件としているのは全体のうちわずか26校(前年21校)、複数条件の1つとして設定しているのは3校のみで、両方を合わせても16.6%だが、近年では最も高い設定率となっている。私立短大最大の重視項目は「入学熱意」といっても過言ではない。
<取得資格・活動実績>
■私立大
2018年度の場合、必須条件としているのは133校(21.4%)と多い(前年度は126校‐20.4%)。さらに複数条件の1つとして設定しているケースも96校(15.5%)にのぼり、両方を合わせると36.9%で全体の約4割近くを占めるまでになっている。この資格・活動実績重視の設定状況はAO発足以来、着実に鮮明化しており、AO入試の大きな特徴となっている。
■私立短大
活動実績・取得資格を必須条件としているケースは、わずか24校(8.9%)どまり(前年度は20校‐7.3%)。複数条件の1つとして設定しているケース21校(7.7%)を加えても45校(16.6%)で、4大と比べてかなり差異がある。こうした状況は、AO発足以来ほとんど変化しておらず、このハードルの低さが私立短大でAO入学率が2割余を占める大きな要因といえよう。

◆私立大:2018AO入試の地区別出願条件設定の概要

2018全国版「AO入試年鑑」で成績基準、取得資格・活動実績に関する地区別統計がまとまったのでご紹介する(入試区分・学部等で異なる場合は複数扱いで集計)。

<成績基準>
地区 必須条件 複数条件の1つ 設けない
北海道・東北 4校(9.5%) 0 38校(90.5%)
関東 31校(15.2%) 7校(3.4%) 166校(81.4%)
中部 18校(20.7%) 0 69校(79.3%)
近畿 26校(21.8%) 2校(1.7%) 91校(76.5%)
中国・四国 7校(16.7%) 0 35校(83.3%)
九州 7校(15.2%) 1校(2.2%) 38校(82.6%)

上記の一覧表に示す通り、必須条件としての設定率が最も高いのは近畿地区、次いで中部地区。その他の地区はいずれも10%台で、推薦入試と比べて成績基準のハードルはきわめて低い。

<取得資格・活動実績>
地区 必須条件 複数条件の1つ 設けない
北海道・東北 5校(11.6%) 12校(27.9%) 26校(60.5%)
関東 60校(24.4%) 38校(15.4%) 148校(60.2%)
中部 15校(16.9%) 8校(9.0%) 66校(74.1%)
近畿 34校(23.6%) 20校(13.9%) 90校(62.5%)
中国・四国 5校(11.6%) 4校(9.3%) 34校(79.1%)
九州 14校(25.0%) 14校(25.0%) 28校(50.0%)

必須条件としての設定率が高いのは九州、関東、近畿の3地区。複数条件の1つとして設定率が高いのは、北海道・東北、九州の2地区だろう。また、九州地区は「設けない」ケースが約半分にすぎない点も注目される。

推薦入試情報

◆2018年度公募制推薦入試の実施状況が判明

現在、弊社では9月初旬発行予定の全国版「推薦入学年鑑」の制作に全力を注いでいるが、このほど全ての大学・短大の推薦実施状況が判明したので、速報でご紹介する。

募集校 公募実施校 指定校のみ 公募実施率 実施せず
国立大 82校 77校 0校 93.9% 5校
公立大 87校 85校 0校 97.7% 2校
私立大 580校 556校 21校 95.9% 3校
公立短大 14校 14校 0校 100% 0校
私立短大 300校 296校 4校 98.7% 0校

7月上旬現在、募集停止は私立大0校、私立短大3校が判明しており、2018年度の学生募集校は上記のとおりとなっている。

国立大では、九州大が新設予定の共創学部で推薦入試を導入する。今年度に実施しないのは北海道大、弘前大、東北大、東京芸術大、京都工芸繊維大の5校となっている。

公立大は、長野県立大、小松大の2校が新たに加わる。推薦入試を実施しないのは、京都市立芸術大と九州歯科大である。

私立大の学生募集校は、2校増加して580校。公募実施校は2校増え556校となった。公募の新規導入校は、日本薬科大、聖マリアンナ医科大の2校。完全指定校制は前年と同じ21校だが、関東地区だけで20校(うち東京都が14校)を占める。公募・指定校制とも実施しないのは、東京慈恵会医科大、日本医科大、立命館アジア太平洋大の3校である。

公立短大は14校全てで実施。私立短大は募集停止が3校で、学生募集校数は300校と前年より3校減。その98.7%に当たる296校で公募制を実施する。完全指定校制は北海道武蔵女子短大、宇都宮文星短大、城西短大、鶴川女子短大の計4校。公募・指定校制とも実施しない短大は今年度は皆無となっている。

◆私立大:2018地区別公募推薦実施校と完全指定校制一覧

弊社の全国版「推薦入学年鑑」で実施した2018年度の実施状況等の調査から、地区別の実施状況および完全指定校制の私立大・短大をレポートしておこう。

<地区別実施校数>
実施校数
国立大 公立大 私立大 公立短大 私立短大
北海道・東北 11校 16校 57校 4校 35校
関東 18校 10校 190校 1校 82校
中部 15校 20校 89校 3校 54校
近畿 12校 13校 124校 1校 60校
中国・四国 10校 15校 43校 3校 29校
九州 11校 11校 53校 2校 36校
77校 85校 556校 14校 296校

私立大の場合、やはり関東地区が群を抜き、次いで近畿・中部地区の大都市圏に集中するが、その他の地区もほぼ全てが公募推薦を実施している。

私立短大の場合、大都市圏で短大数が減少しているのが特徴(4大に吸収など)で、各地区の実施状況は4大ほど差がない点が注目される。


次に完全指定校制で実施するのは、自治医科大、文星芸術大、秀明大、嘉悦大、国学院大、国際基督教大、白百合女子大、成蹊大、成城大、聖心女子大、東京女子大、東京神学大、東京造形大、武蔵大、武蔵野音楽大、明治学院大、立教大、関東学院大、洗足学園音楽大、南山大の21校で前年と同じ。また、北海道・東北、近畿、中四国、九州の4地区に完全指定校制が皆無なのも注目される。

ニュースフラッシュ

◆共通テスト英語は2024年度から完全民間移行

大学入試センター試験に代わり、2020年度からスタートする「大学入学共通テスト」の実施方針が、今月10日、文科省が有識者会議に示し、了承された。英語に関しては、民間検定を活用することで4技能を評価し、大学入試センターが作問する試験も23年度まで残し、併用することが決まった。

共通テストは、国語や数学などで記述式も導入するなど、大学入試制度上、約30年ぶりの大改革となる。グローバル化など社会の変革が進む中、知識に加え、課題解決のための思考力や判断力を測るテストに改める狙いがある。

英語はコミュニケーション能力を重視し、「読む・書く」の2技能だけを測っていた試験を廃止し、4技能を測るため英検やTOEICなどの民間試験を活用することになる。どの団体の試験を認めるかは、今年度中にも決める方針だ。

2020~23年度の間、併用方式に落ち着いたのは、制度の大幅変更による影響を考慮し、高校や大学側の民間試験の成績評価のあり方や公平性についての懸念に配慮し、いわば調整期間を設けたわけである。

23年度までは、各大学は共通テストと民間試験のどちらも使えることになる。民間試験を使う場合、受験は高3の4~12月に受けた結果を2回まで使える。今後は、全国各地での受験環境の公平さをいかに確保するかなどの課題が残るが、文科省は各団体に対し、受験料の軽減などを求める方針だ。各団体もこれまでとは違う膨大な受験者に、適切に対処するノウハウを獲得することも重要になる。

新テストでは、国語と数学で記述式の問題も導入し、この部分の採点は民間に委託する。今年11月に5万人、来年度に10万人規模のプレテストを実施し、従来のマークシート式も含めて問題のあり方を検討する。24年度からは地歴・公民と理科でも記述式の導入を図る。

文科省は共通テスト導入のほかにも、大学入試改革を進めている。AO入試や推薦入試については、小論文、プレゼンテーション、共通テストなどのいずれかが必須になる。2018年度のAO・推薦入試では、早くもその先行影響が見られるので要注意だ。

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